給与アップを目指して転職!というのが定番ですが、サラリーマンも40代、中堅ともなると、転職軸も変わるようです。みていきましょう。
月収〈53万円〉48歳の大卒課長「これ、やりたい仕事だっけ…」と辞表…〈40代の転職〉アリか、それともナシか?

40代からの「転職はやめておけ」とされる2つの理由

管理職となり、重い責任を負うようになる……やりがいを見出せず、「これ、やりたかった仕事ではない……」という思いが強くなる。

 

――そろそろ限界かな

――どうせなら、もうひと花、咲かせたい

 

48歳、課長……さまざまな思いが交錯し、大学卒業以来働いてきた会社を離れることを考えたとします。そのとき「頑張れ!」と背中を押す声とともに、「やめておけ」という声も多いでしょう。

 

40代の転職をとめる理由(1)退職金が少なくなる

人事院『民間企業退職給付調査』によると、勤続26年の退職給付額は1,113.6万円。一方、大卒で就職した会社を定年まで勤め上げた場合の退職給付額は2,353.7万円。その差は1,000万円以上になります。転職した先で改めて退職金がもらえる可能性もありますが、別調査(日本経済団体連合会『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』)』、かつ会社都合ですが、勤続10年の退職金額は29.3.5万円、勤続15年で539.1万円。結局、転職するかしないかで、退職金額は700万~800万円ほどになる可能性があります。

 

40代の転職をとめる理由(2)求人が少なく、希望年収が通りづらい

厚生労働省関東労働局『関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート(令和6年3月分)』で年齢別の有効求人倍率をみていくと、「34歳以下」で1.64倍、「35~44歳」が1.33倍に対し、「45~54歳」は0.91倍。有効求人倍率が「1倍」を下回るということは求人数に対して求職者数のほうが多いということであり、採用側が強いということになります。当然、希望年収も通りづらいということにも繋がります。

 

 

もちろん、40代の転職では、より専門的なスキルや経験が買われ、好待遇で迎え入れられることも珍しくはありません。そうなれば退職金が減額となった分をカバーできる可能性も高まります。また今の職場で大きなストレスを抱えているなら、働くことが困難になる事態は避けたいもの。転職もひとつの選択肢になるでしょう。

 

どちらにせよ、より慎重な行動が求められる40代の転職。長い目で見て、後悔がないか見極めることが重要です。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

エン・ジャパン株式会社/「ミドルの転職」『転職軸意識調査』

人事院『民間企業退職給付調査』

日本経済団体連合会『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』

厚生労働省関東労働局『関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート』