会社員などの厚生年金に加入している人は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建ての年金を受給できますが、自営業などの場合、公的年金は老齢基礎年金のみとなります。令和6年度の満額の老齢基礎年金は昭和31年4月1日以前生まれの人で、月額6万7,808円となり、年金だけで生活を送るのは厳しいといえるでしょう。本記事では大谷さん(仮名)の事例とともに、一定額以下の年金生活者の人への支援制度について、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
夫を亡くし「年金月6万5,000円」となった75歳妻、“エンドレス・1食29円の冷凍うどん”の貧困老後へ陥るも…年金機構から届いた「緑色の封筒」に感涙したワケ【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

自助努力の重要性

人生100年時代とよく耳にするようになってきた昨今ですが、老後の生活を送るために、公的年金だけではなく、自助努力で不足分を補っていくことが必要な時代です。

 

現在、65歳を過ぎて年金生活を送っている人が現役時代には、老後の心配をすることなく、働いてきた人もいます。
しかし、少子高齢化が進む日本では、高齢者を支える現役世代の人口が少なくなり、年金の支給水準も減少していくことが考えられます。現役時代から地道に貯蓄をしていても、インフレを意識せずに預貯金にお金を預けていると、実質でお金が目減りしていってしまうでしょう。

 

今回の大谷さんのケースでは、公的な年金の1階部分である基礎年金のみの受給であったため、さらに老後の生活費が不足してしまうということになりました。

 

現在、生活保護の受給者の半数以上は高齢者となっているほど、老後の生活が厳しい時代となっています。老後の生活費の不足分の準備として、企業の確定拠出年金や自営業などの場合や専業主婦の人でも利用できる個人型確定拠出年金(iDeCo)という制度も普及しつつあり、自助努力で意識的に準備ができるようになってきています。

 

若いうちから、少しずつでも準備をしていくことで、無理なく老後の生活費の不足分を補うことができる可能性があります。自分のライフプランを考えて、資金計画も行っていきましょう。

 

<参考>

日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202404/0401.html

 

日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/sonota-kyufu/shienkyufukin/seikyu/ta.files/Leaflet01.pdf

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表