住宅ローンを組む際は、問題ないと思っていても、いざローンの返済が始まりしばらくすると「なにかが苦しい」と、家計に頭を抱える家庭は少なくありません。それは、いわゆる「パワーカップル」といわれるような高所得夫婦にも多くみられ……。本記事では湾岸タワマンを購入したAさん夫婦の事例とともに、高所得世帯が陥りがちな家計トラブルの解決策について、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
ハアハア…世帯年収1,450万円の30代・上京パワーカップル“1億円超・湾岸タワマン”を購入も…3年後には首が絞まり「買えたのに。」と涙ぐむワケ【FPの助言】 (※画像はイメージです/PIXTA)

パワーカップルが陥りがちな家計のトラブル

ファイナンシャルプランナーが数多くの家計を見ていると、「所得の高い家ほど家計簿をつけていない」という現実に気づきます。

 

毎月の収入が多いため、どんぶり勘定でもやりくりができるからです。ざっくりとした感覚でも十分お金が貯まるので危機感は持っていませんが、年齢が高くなるにしたがって家計が苦しくなっていくケースが見られます。

 

支出を管理していないのに慣れだけで大きな買い物を繰り返していくのが原因です。投資や保険を含めた金融商品の購入もハードルが低くなってしまい、あまり検討をせずに契約してしまうのも特徴です。まさに「値段を見ないで買い物をする癖」がついてしまうと、遅かれ早かれ家計は行き詰まっていきます。

 

20世紀のイギリスの政治学者、シリル・ノースコート・パーキンソン氏が唱えた法則に、「パーキンソンの法則」というものがあります。

 

第1法則 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する

第2法則 支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

 

というふたつから成り立ち、特に第2法則はパワーカップルに起こりがちの現象です。収入が高くなるほど支出の額が無意識レベルで膨張していくのです。タワーマンションなど高額の買い物をしたあとで、家計の膨張が異常レベルになっていることに気づくものです。

 

パワーカップルという言葉に踊らされず、マンション購入前には時間をかけて緻密な家計改善を行っていく必要があります。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表