年功序列の日本型の給与体系が崩れ、いまや転職を繰り返しながらキャリアアップ&給与アップを狙う時代。ずっと「長く勤めること」はなしなのでしょうか。勤続年数ごとの給与の変化をみていきます。
いつまでこの会社にいるつもり?42歳・大卒サラリーマン〈同期の退職組〉に転職を勧められるも「自分は手遅れ」と自虐【勤続20年目の給与額】

転職で給与アップを実現は4割弱…なら長く勤めるほうがメリットが大きい⁉

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの平均給与は、月収で40.8万円。これを勤続年数ごとにみていくと、勤続年数が長くなるほど、平均給与は右肩上がり。年功序列の日本らしい結果になっています。

 

【勤続年数別・大卒サラリーマンの平均月収】

勤続0年:31.9万円

勤続1~2年:32.5万円

勤続3~4年:33.0万円

勤続5~9年:35.7万円

勤続10~14年:40.1万円

勤続15~19年:44.2万円

勤続20~24年:48.1万円

勤続25~29年:51.1万円

勤続30年以上:54.4万円

 

40~44歳と40代前半に限り、勤続年数ごとの平均給与をみていくと、平均は42.4万円。勤続1年未満では40.8万円。転職したタイミングなどもあるのでしょう。きれいな右肩上がりとはいいにくい結果です。仮に男性が勤続20年の平均月収「48.1万円」を手にしているとすると、そこから勤続1年未満の平均「40.8万円」へと給与減になる可能性は、決して低くないでしょう。

 

【勤続年数別・40代前半の大卒サラリーマンの平均月収】

勤続0年:40.8万円

勤続1~2年:42.7万円

勤続3~4年:41.4万円

勤続5~9年:39.0万円

勤続10~14年:40.7万円

勤続15~19年:42.6万円

勤続20~24年:47.2万円

 

また厚生労働省『令和5年上半期雇用動向調査』で、転職入職者の賃金変動状況をみていくと、転職により給与アップを果たしのは38.6%。さらに1割以上の給与アップとなったのは27.2%でした。一方、減額となったのは33.2%。さらに1割以上の減少となったのは25.8%。誰もが「転職で給与アップ」を目指したいところではあるものの、現実的に給与アップを実現しているのは4割弱にとどまります。

 

男性が働く会社。初任給こそは業界水準を上回っているものの、その後、給与はそこまで伸びず、40代を迎えるころには業界平均以下、ということは、30代のうちから分かっていました。転職を考えたことは一度や二度はありますが、自身の家族の生活や住宅ローンの返済を考えると……たとえ給与が業界平均以下だとしても「転職による給与減」のリスクを犯してまで給与アップを目指すことが正解なのか。答えを出せないまま、勤続20年目を迎えてしまったといいます。

 

このまま定年まで勤め上げ、しっかりと退職金をもらう。そんなサラリーマン人生も無難に生きてきた自分にふさわしいと、最近は思い始めているところだといいます。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『令和5年上半期雇用動向調査』