学校を卒業して以来、40年あまり、必死に働いてきて迎える定年。そのあとも働くか、働かないかは人それぞれですが、一旦はゆっくりしたいなどと、思いを馳せている人は多いのではないでしょうか。しかし、そんな夢も叶うことなく、幻のように消えてしまうケースも。みていきましょう。
「定年後はハワイ旅行!」と夢みたが…年金月38万円の〈60代夫婦〉悠々自適な老後が崩壊、「年1回の国内旅行も無理」と落胆のワケ

二人とも定年を迎えたら…思い描いていた夫婦の夢を断念した理由

記録的な円高により、大型連休を利用して海外旅行に行っている人は大打撃といったところですが、「そもそもハワイ旅行なんて夢物語だし」と吐き捨てるように語る、65歳女性。夫は1つ上の66歳。夫婦で雇用延長をしながら、いまも現役で働き続けているといいます。

 

――夫の勤める会社は雇用の上限が70歳なので、あと4年ほどで完全引退。私の勤める会社は上限はないので……働けるうちは働き続けたい

 

月収は夫婦で月45万円ほど。年金は夫婦で月38万円ほど。「経済的には正直余裕がある」と女性。それにも関わらず「ハワイ旅行は夢物語」と語るのはなぜなのか……それは88歳になる、同居の義母の存在があるといいます。

 

――二人とも60歳で定年だった。ふたりとも定年を迎えたら、ゆっくりしよう、ハワイとか南の国にでも旅行しようと言っていたが

 

定年の直前となり、当時、まだ存命だった義父が要介護&在宅介護に。とても「定年後は海外旅行に」といった雰囲気ではなくなり断念したといいます。義父は2年前に亡くなりましたが、その後、義母が要介護1の認定。一緒に海外旅行に行くにはハードルが高くなり、また義母を置いて旅行など行ったら親戚中から批判を浴びると遠出は断念。「年1回くらい国内旅行にでも……」と考えたこともありますが、コロナ禍で外出自体を控えていたら億劫に。「もう羽を伸ばすというのは、気持ち的にも無理ですね」と肩を落とします。

 

国立社会保障・人口問題研究所が先日公表した『第7回全国家庭動向調査 報告書』によると、妻の年齢が 70歳未満となる世帯を対象として、親と同居している世帯の割合は15.6%。また夫、または妻の母親と同居している割合は13.3%でした。

 

5年ごとに行われている同調査。親との同居割合の推移をみていくと、「2008年」に26.6%、「2013年」に31.5%、「2018年」に19.8%、「2022年」に15.6%。近年、低下傾向にあるものの、親と同居する世帯はは7世帯に1世帯程度となっています。

 

また年齢別に親との同居割合をみていくと、「20代以下」で7.9%、「30代」で9.3%、「40代」で14.4%、「50代」で18.4%、「60代」で20.5%と、年齢が上がるにつれて親との同居割合は増えていくことが分かります。