老後資金に対して不安を抱えている人は少なくありません。行政書士でリスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏は、業務委託契約のかたちをとることで、「“半”個人事業主」という働き方を提案しています。木村氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、詳しく解説します。
業務内容も会社も同じだが…65歳以降の収入に圧倒的に差がつく「“半”個人事業主」という働き方【専門家が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

“半”個人事業主となった場合の65歳以降の「支出」はどうなる?

今度は、支出面を見てみましょう。

 

総務省「家計調査報告(家計収支編)―2022年(令和4年)平均結果の概要」を見ると、65歳以上で夫婦のみの世帯の実収入は24万6,237円、社会保険料などを引いた可処分所得は21万4,426円となっています。

 

一方、公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後に必要な最低日常生活費は23万2,000円、ゆとりのある老後生活費は37万9,000円となっています。やはり、旅行に行ったり孫におこづかいをあげたりもできる、ゆとりある老後生活を送りたいものです。

 

そのためには、先ほどの可処分所得から考えると、毎月16万4,574円(37万9,000円-21万4,426円=16万4,574円)が不足します。

 

この金額ですが、先ほど見た65歳以降にパートタイマー的な仕事にフルタイムで従事した際の給与水準(17万円)とほぼ同額です。もちろん、貯金を取り崩す手もありますが、65歳以降もゆとりある老後生活をフローで収支を賄うためには、65歳以降も毎日8時間働き続けなければいけません

 

これが“半”個人事業主戦略をとり、本来の再雇用期間の5年間のうちにクライアントを、仮に2社獲得できれば、673.1万円(=56.1万円/月)の収入を維持できます。個人事業主の場合、時間にリンクした働き方はしませんので、自分で時間をコントロールしながら自分の得意分野で仕事を続け、収入を獲得し続けることができます

 

また、個人事業主は厚生年金の被保険者ではありませんので、収入に応じて年金が停止となる在職老齢年金の支給停止の適用もありません(いくら稼いでも厚生年金は全額支給となります)

 

 

木村 勝

行政書士

リスタートサポート木村勝事務所 代表