老後資金に対して不安を抱えている人は少なくありません。行政書士でリスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏は、業務委託契約のかたちをとることで、「“半”個人事業主」という働き方を提案しています。木村氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、詳しく解説します。
業務内容も会社も同じだが…65歳以降の収入に圧倒的に差がつく「“半”個人事業主」という働き方【専門家が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

データが示す副業・兼業の実態

経団連が2022年10月に行なった「副業・兼業に関するアンケート調査結果」を見てみましょう。この調査は、経団連会員企業における副業・兼業に関する取り組み状況やその効果などを把握するために実施したものですが、会員企業の副業・兼業解禁状況だけでなく、社外からの副業・兼業人材の受け入れについても調査をしています。

 

その結果は、社外からの副業・兼業人材の受け入れについては、回答企業の30.2%が「認めている」または「認める予定」と答えています

 

社外から副業・兼業人材を受け入れることの効果については、「人材の確保」(53.3%)、「社内での新規事業創出やイノベーション促進」(42.2%)、「社外からの客観的な視点の確保」(35.6%)が上位を占めており、企業における必要な人材の確保策として、副業・兼業者の受け入れを図っていることが明らかになっています。

 

経団連の会員企業は伝統的な大企業が多く、業務は正社員が中心となって担ってきました。かつては、正社員至上主義の色あいが強く、中小企業に比べると雇用(特に正社員)以外の働き方の受け入れについては決して積極的ではありませんでした。

 

しかしながらこの調査からもわかるように、自社の社員に対する副業・兼業の解禁にともない、雇用以外の働き方(=業務委託)に関しても抵抗感がなくなってきています。

 

電通や健康機器のタニタが積極的に自社社員の個人事業主化を図っていることは有名ですが、多くの企業で雇用に限らず多様な働き方を柔軟に受け入れるようになっているのです。 

 

時代は変わりつつあります

 

筆者も一社専従型のサラリーマン生活(入社以来30年間一度も転職経験はありません)を続けたのちに、(今まで勤務していた会社と直接ではありませんが)サラリーマン時代から関係の深い会社と業務委託契約を締結し、個人事業主として独立しました。

 

少ないリスクで「指揮命令」を受けない・「時間・場所」を制約されない「独立」という働き方が実現できるのが、“半”個人事業主です

 

[図表1・2]は、多くのシニアサラリーマンがたどるルートであろう「今の会社に残り続ける人の収入シミュレーション」と、これから本書の中で提唱する「60歳で“半”個人事業主化した人の収入シミュレーション」を図示したものです

 

出典:『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より抜粋
[図表1]最後まで今の会社に残り続けた場合の収入シミュレーション 出典:『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より抜粋

 

出典:『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より抜粋
[図表2]60歳で“半”個人事業主になった場合の収入シミュレーション 出典:『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より抜粋