あなたには貸せません…「賃貸住宅の審査落ちを経験した高齢者」全国で7万人
男女差はあれど、「最期は自宅」が支持されているなか、高齢者の現状の住居形態で最多は「持ち家(一戸建て)」で76.2%。「持ち家」全体で8割を超えます。希望を叶えるベースは整っているケースが多数といえます。
【高齢者の現在の住居形態】
持ち家(一戸建て)…76.2%
持ち家(分譲マンション等の集合住宅)…8.3%
賃貸住宅(民営のアパート・マンション)…5.9%
賃貸住宅(公営・公社・UR等の集合住宅)…4.5%
賃貸住宅(一戸建て)…2.4%
高齢者向け住宅…0.4%
一方で高齢者の賃貸派で不安なのが「家なしリスク」。「65歳になってから今までに入居を断られたことがありますか」の問いに、「ある」は1.5%。かなりの少数派。2023年9月15日現在、日本の高齢者は推計で3,623万人。賃貸派は12.8%から計算していくと、実数は463万7,440人。そのうち「借りたくても借りられなかった」という経験のある高齢者は全国で7万人にも及ぶ計算です。
さらに収入別にみていくと、月10万~15万円未満では1.0%なのに対し、月5万~10万円未満では5.6%、月5万円未満では7.4%。高齢者の生活を支える収入の多くが年金ですが、「入居を断られるかどうか」、年金月10万円未満がひとつのボーダーラインとなり、年金5万円未満では13人に1人の割合で「家なしリスク」に直面することになります。
年金10万円未満で跳ね上がる高齢者の家なしリスク。低収入が審査の通過を難しくしているなら、生活保護を受けることで解決できる場合も。
たとえば東京23区の場合、生活扶助基準額は7万6,880円、住宅扶助基準額が5万3,700円。合計の生活保護費は13万0,580円です。仮に年金月5万円で、貯蓄も最低生活費以下、十分に働くこともできないと判断されたら、差額となる月8万円ほどの生活保護費を受け取れる可能性があります。収入を不安視して「家を貸せません」と拒否した大家にとって、生活保護を受けることで収入が安定した高齢者であれば「貸せる」という判断ができるかもしれません。
[参考資料]