日本年金機構から届いた「緑色の封筒」…いつもの調子で捨ててしまった
大手メーカーで定年退職を迎え、その後、再雇用で働いているという、当時、64歳のおひとり様の男性。
――大企業っていっても、非正規だとそんなもんだよ
という給与額だったといいます。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大企業(従業員1,000人以上)64歳・非正規男性の平均給与は、月収で28万7,400万円、賞与も含めた年収は457万7,700円です。“そんなもん”であれば、毎月の給与はこれくらいだったのでしょうか。
65歳まであと3ヵ月ほど。制度的には70歳まで働けるといいますが、65歳を迎えたら契約は更新せず、退社する意向を伝えているといいます。
――65歳になれば年金がもらえるというし、一人だから、もう、そんなにガツガツ働かなくても生きていける
と判断。退職したら、趣味の釣りでもして、のんびり暮らしていこうと考えていたといいます。そして65歳を迎え、無事、現役を引退。思い描いていた通り、悠々自適な老後がスタート。とりあえず、飽きるまで釣りを極めようと、釣り三昧の毎日を送っていました。
そんなある日のこと、元同僚と久々に飲みに出かけたといいます。そこで「年金はもらっているのか?」と質問。
――んっ、もらってないけど
――ずいぶんと余裕があるんだな。俺は、年金がないと暮らしていけない
――んっ⁉ 俺も余裕はないけど、まだ年金はもらってない
――んっ⁉ ならちゃんと手続きしろよ
――手続き⁉
――年金機構から届いていただろう、A4くらいの緑の封筒。それで手続きするんだよ
そんなやり取りがあったといいます。
――緑の封筒……届いていたような
最近、あらゆるものがオンライン化し、ポストに入っているのはチラシばかり。いっぱいになったら取り出して、投函物をサッと見たら、そのままゴミ箱にポイッ、というのがいつものパターンでした。
――緑の封筒、捨ててしまった