今回は、60歳以後も働くことで得られる「トリプルインカム」について説明します。※本連載は、シニア世帯の家計健全化に貢献してきた梅本正樹氏による書籍、『シニアのなっとく家計学』(水曜社)の中から一部を抜粋し、ゆとりあるシニアライフを送るための「家計のコントロール方法」を紹介します。

給与の減額は必要以上に悲観しなくてもよい

このように、あなたが継続雇用制度によって60歳以後も働き続けることになった場合、給与は60歳以前よりも減少する覚悟が必要です。

 

ただ60歳以後も働く場合には、勤め先からの給与だけではなく、一般的には次の3種類(トリプル)の収入(インカム)を受け取ることができます。

 

①給与・・・勤務先から受け取る、給料、賃金、賞与など

②年金・・・日本年金機構より支給される、特別支給の老齢厚生年金

③給付金・・・ハローワークより支給される、高年齢雇用継続給付

 

これらトリプルインカムの差引手取額合計は、不思議なことに定年前の差引給与手取額と大差ないケースが多いのです。つまり結果オーライということになり、あなたの勤める企業が継続雇用制度を採用している場合でも、それほど給与の減額を悲観しなくてもよいということになるのです。

徐々に引き上げられる年金の支給開始年齢に注意

このように、3種類もの異なる種類の収入を得られると聞くと、「なんだか難しいことはよくわからないけど、ラッキー!」という気持ちになるのではないでしょうか。こんな時ばかりは日本人であることの、ありがたさを実感してしまいますね。

 

ただし②の年金、具体的には「特別支給の老齢厚生年金」は、原則として以下の表のように支給開始年齢が60歳から65歳へと、生年月日や性別に応じて徐々に引き上げられています。

 

[図表]老齢厚生年金の支給開始年齢

 

たとえば支給開始年齢が62歳の方の場合は、60歳から62歳になるまでの期間は、②の年金を受給できない「年金空白期間」となります。したがって、トリプルインカムを得られるいわば「特権階級」の人々は、残念ながら将来的にはいずれ消滅する運命にあるのです。 

シニアのなっとく家計学

シニアのなっとく家計学

梅本 正樹

水曜社

老後はどれくらいのお金が必要なの? 貯蓄額は充分? 急な病気になったら…。それは“シニア剰余金"の数字でわかります! 延べ1000を超える案件で、シニア世帯の家計健全化に貢献してきた著者が、会計知識がない人にもやさし…

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