今回は、職業人生の長期化に対して、シニアはどのように捉えるべきかを見ていきます。※本連載は、シニア世帯の家計健全化に貢献してきた梅本正樹氏による書籍、『シニアのなっとく家計学』(水曜社)の中から一部を抜粋し、ゆとりあるシニアライフを送るための「家計のコントロール方法」を紹介します。

平成18年の導入以後、「65歳定年」はほぼ定着

数十年前であれば、定年が55歳などという企業は珍しくありませんでした。その後、平成10年には高年齢者雇用安定法により「60歳定年制」が義務化され、この60歳定年制は永らく日本社会に定着していました。

 

ところが、国は平成18年4月1日より、シニア労働者の安定した雇用の確保を図るため、さらなる定年の引き上げなどを事業主に義務付けました。

 

具体的には、事業主に対して次の「高年齢者雇用確保措置」の内から、いずれかを選択する義務を課したのです。

 

①定年の引き上げ・・・・定年年齢を65歳まで引き上げる

 

②継続雇用制度の導入・・次のいずれかを選択する

 

(1)「勤務延長制度」・・・定年後も労働者を退職させることなく、引き続き雇用

(2)「再雇用制度」・・・・定年時に一旦退職させ、翌日から再雇用

 

③定年の定めの廃止・・・定年制度そのものを廃止する

 

この「高年齢者雇用確保措置」は、平成18年4月の導入当初、勤務成績優良者に限るなどの条件を付すことが可能でした。つまり、希望者全員が雇用される訳ではありませんでした。

 

しかしその後、平成25年4月には法改正によって、原則として希望者全員の雇用が事業主側に義務付けられることになりました。

 

これらの措置の導入率を見てみると、厚生労働省の調査では平成27年度で99.2%と、ほとんどの企業が導入済みとなっています。このうち最も多く導入されているのは、事業主側が柔軟に制度を運用できる余地のある「②継続雇用制度の導入」です。

 

平成18年のこの制度導入当時、いきなりの定年5年延長等に対して、大変唐突感があったものですが、時の流れに従い現在ではほぼ定着してしまいました。

「65歳まで稼げる!」とプラス思考で考える

世の中には「60歳を過ぎたら、リタイアしてのんびり暮らしたい。」という方も多いことでしょう。

 

しかし「人生七掛説」によれば、昔60歳であった人は現在なら「60歳×0.7=42歳」ということになります。つまり「60歳はまだまだ働き盛りだ!」と解釈することもできるのです。

 

ここはひとつ「65歳まで働けるなんてラッキーだ! 収入と健康を同時に手に入れることができる!」とプラス思考で考えてみてはいかがでしょうか。

 

将来的には「少子化による労働力人口の減少」や「年金支給開始年齢の更なる引き上げ」などの要因によって、70歳近くまで働ける、逆に言えば働かざるを得ない時代が到来することになるでしょう。

シニアのなっとく家計学

シニアのなっとく家計学

梅本 正樹

水曜社

老後はどれくらいのお金が必要なの? 貯蓄額は充分? 急な病気になったら…。それは“シニア剰余金"の数字でわかります! 延べ1000を超える案件で、シニア世帯の家計健全化に貢献してきた著者が、会計知識がない人にもやさし…

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