労働条件が悪化!? 「60歳以降の雇用」に潜む問題点

今回は、60歳以降の雇用に潜む問題点を見ていきます。※本連載は、シニア世帯の家計健全化に貢献してきた梅本正樹氏による書籍、『シニアのなっとく家計学』(水曜社)の中から一部を抜粋し、ゆとりあるシニアライフを送るための「家計のコントロール方法」を紹介します。

同じくらい働いても、賃金には大きな差が…

ここで一つ注意が必要です。確かに平成25年4月1日からは、60歳になろうとするシニア労働者が希望しさえすれば、原則として65歳までの雇用は確保されるようになりました。

 

しかし、60歳以前の労働条件が65歳までそのまま継続する訳ではないのです。事業主には「希望者を65歳まで雇用する措置を義務付けられはした」のですが、「労働条件を継続することまでは義務付けられていない」ということなのです。

 

「労働条件」とは、労働者と事業主などの使用者との間で交わされる雇用条件のことです。具体的には、賃金や労働時間、休暇、退職金の有無、解雇、などをいいます。皆さんがこの中で一番気になるのは、やはり「賃金」ではないでしょうか。

 

例えば、60歳まで月額給与が40万円であった労働者が、60歳で一旦定年を迎え、その後65歳まで再雇用されることになったとします。

 

このケースの場合、60歳から65歳までの間の月額給与は、一般的に60歳以前の40万円ではありません。通常3割から6割程度カットされて、28万円から16万円程度に減額されてしまうのです。

 

働く方としては、「仕事の中身はほとんど変わらないのに、なんで一方的に賃金をこんなに下げられてしまうのだ!」と不愉快な気持ちになって当然でしょう。

 

60歳から65歳までの5年間ものあいだ賃金が引き下げられた状態だと、場合によっては1000万円を超える額の総収入が減少してしまいます。当然シニアライフの質にも影響することになるので、当人にとっては大問題です。

 

そこで、定年間際になってショックを受けないためにも、多少の余裕を持って50歳のシニア期に突入した頃に、あなたが「労働条件が引き下げになる人」であるか否かを一度確認しておく必要があるでしょう。

勤務先は「継続雇用制度」を採用しているか?

あなたが「労働条件が引き下げになる人」に該当する可能性があるのは、あなたの勤める企業が、前回説明した「高年齢雇用確保措置」の中で「②継続雇用制度」を採用しているケースです。

 

「①定年の引き上げ」など、「②継続雇用制度」以外の制度を採用しているケースでは、特別な理由がないのに、いきなり労働者の給料を下げることなどは、労働者を保護する法律である「労働基準法」によって原則禁止されています。

 

したがって企業側からすれば、自由に労働条件を引き下げて賃金コストを抑制できる、「②継続雇用制度」を採用したいと考えるのも無理はありません。

 

もし、あなたの勤める企業がこの継続雇用制度を採用しており、しかも継続雇用後の労働条件が納得いかない程劣悪なものであったとしたら、60歳の定年後は現在とは別の企業で働くことも選択肢に入れざるを得ないでしょう。

 

なお賃金が引き下げになる場合、シニア会計に組み込むべき給与収入は、勤務先企業の継続雇用者に対する賃金制度の差異により大きく異なります。したがって現在定年に達していない方で、ご自分で継続雇用期間の給与収入の算定が難しいと思われる方は、次の計算式をご利用いただければ結構かと思います。

 

継続雇用期間の給与収入=現在の年間給与収入×50%×(65歳-定年年齢)

税理士
ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士
中小企業診断士 

1960年生まれ。石川県金沢市出身。大阪府立大学経済学部経営学科卒業。複数資格によるシナジー効果を生かし、延べ1,000を超える案件でシニア世帯の家計健全化に貢献。他の保有資格は宅地建物取引士(有資格者)。
著書に『シニアのなっとく家計学』(水曜社)、『「起業」「法人化」を考えた時に読む本』(彩図社)。

著者紹介

連載ゆとりあるシニアライフを送るための「家計学」

 

シニアのなっとく家計学

シニアのなっとく家計学

梅本 正樹

水曜社

老後はどれくらいのお金が必要なの? 貯蓄額は充分? 急な病気になったら・・・。それは“シニア剰余金"の数字でわかります! 延べ1000を超える案件で、シニア世帯の家計健全化に貢献してきた著者が、会計知識がない人にも…

 

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