定年退職か再雇用か、年金はいつから受け取るか、など老後について考え始める機会が増える50代~60代。年金制度や各種手当について知っているかどうかで、老後の手取り額も大きく変わることをご存じでしょうか。本記事では、Aさんの事例とともに退職のベストタイミングについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
月収50万円の生真面目サラリーマン、65歳まできっちり勤め上げるも…ふと疑問「なぜ同期のあいつは“定年直前”に辞めたのか?」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

退職するなら「64歳11ヵ月」のタイミングといわれる理由

65歳からの退職は、失業手当ではなく高年齢求職者給付金になります。ですから、失業手当を受け取るためには65歳になる前に退職すればいいのですが、

 

・特別支給の老齢厚生年金を受給する場合
 -男性の場合、昭和36年4月1日以前生まれ
 -女性の場合、昭和41年4月1日以前生まれ

・老齢年金の繰り上げ受給をする場合

 

など、65歳前に受け取る年金については、失業手当の手続きをすると支給が停止されてしまいます。したがって、「64歳11ヵ月」に退職するのがベスト、ということになります。

必ずしも65歳前の退職が有利とは限らない

以上のように、65歳になる前に退職して失業手当を受給する方が一見有利のように思えます。ですが、辞めるタイミングによっては、受け取れるボーナスの金額が減ってしまったり、もらえなかったりする場合もあるので、注意が必要です。

 

さらに、定年前の退職は自己都合退職になります。この場合、退職金の計算に大きく影響する可能性がありますので、会社の退職金規程を確認するようにしてください。定年退職と自己都合退職では退職金が数割違ってくるケースもあります。

 

また、退職金には、在職中に功労があったと認められる社員に対しては、特別功労金が加算して支給されることもあります。定年前に辞めてしまうことで、特別功労金にも影響が出てしまうのはもったいないお話です。ですから、AさんよりもBさんが必ずしも得をしたとは言い切れないのです。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表