定年退職か再雇用か、年金はいつから受け取るか、など老後について考え始める機会が増える50代~60代。年金制度や各種手当について知っているかどうかで、老後の手取り額も大きく変わることをご存じでしょうか。本記事では、Aさんの事例とともに退職のベストタイミングについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
月収50万円の生真面目サラリーマン、65歳まできっちり勤め上げるも…ふと疑問「なぜ同期のあいつは“定年直前”に辞めたのか?」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

Bさんが突然辞めた真相が明らかに

Cさん:「へぇ。65歳が定年退職の会社って羨ましいなぁ。僕の会社は60歳だったよ」

 

Aさん:「求職者給付金とかいう一時金まで支給されたから得した気分だよ」

 

Cさん:「あれ? 失業手当じゃなくて? 僕は仕事が決まるまで何ヵ月か失業手当をもらえたよ。65歳になっちゃうともらえないのかなぁ?」

 

Aさんは、この話を聞いて調べたところ、65歳未満だと失業手当が受給できることを知りました。

 

「もしかすると、Bは失業手当をもらうために65歳になる前に辞めたのか?」

定年退職してももらえる失業手当

定年退職後に再就職したくても退職時点でまだ仕事が決まっていない65歳未満の人は、失業手当(雇用保険の失業等給付の基本手当)を受け取ることができます。ただし、退職後にしばらく休もうと考えている人や、仕事を探さない人は受け取ることができません。

 

失業手当の対象となるのは、65歳未満の人です。65歳以上の人が離職して再就職先を探す場合は、Aさんのように失業手当ではなく、高年齢求職者給付金になります。

 

定年退職後に失業保険をもらうには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

 

・就職の意志や能力があるが現在失業中であること。
・離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヵ月以上あること。
・定年退職日が65歳誕生日の前々日より前であること。

 

定年退職日が65歳の誕生日の前々日よりも前である、というのは、法律によって誕生日の前日に満年齢を迎えることが決まっているからです。ですから、失業保険をもらうためには、65歳になる前(65歳の誕生日の前々日)までに退職している必要があるのです。

 

自己都合退職でも、条件を満たすことで失業保険が受けられます。失業保険の給付の給付日数が最大150日(定年退職した場合)であるのに対し、高年齢求職者給付金の給付日数は最大で50日です。失業手当の日額の計算方法は高年齢求職者給付金とほぼ同じですから、給付できる日数で受け取れる金額が大きく変わってくることがわかります。