近年、人手不足や気候変動により食料品の物価が高騰し続けています。特に米は31年ぶりの高値を記録、日本人の主食に大打撃です。本記事では、Aさんの事例とともに、昨今の物価高による影響をFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
おかわり!…「年金月25万円の70代夫婦」まもなく老人ホーム入りのはずが、40代娘一家の毎週恒例行事〈恐怖の食べ放題〉で頓挫。「孫の顔が見られる」の大きな代償【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

娘家族に押しかけられて「食べ放題」される老夫婦

中部地方に住むAさん(75歳)。定年退職後は、妻(73歳)と2人で40年ほど前に建てた戸建て住宅を退職金で一部リフォームなどし、夫婦仲よく暮らしていました。年金は夫婦で月に約25万円受け取っています。2人ともいまのところは健康ですが、年齢も年齢なので、もうまもなくしたら夫婦2人で老人ホームにでも移ろうか、と話をしているところでした。

 

息子(47歳)は東京で家庭を持っており年に1、2回ほどしか会えませんが、娘(44歳)はAさんの住まいから車で10分ほどの場所に10年前に分譲住宅を購入して住んでいます。Aさんの娘の夫(50歳)はサラリーマンで、子どもはまだ小6と小4の男の子2人です。Aさん夫婦が最近頭を悩ませているのは、この娘のほうだといいます。

 

「孫の顔が見られる!」と喜んだが…

Aさんが定年退職後、家が近いせいか孫を連れてちょくちょく遊びに来ていたのはいいのですが、最近は頻度が上がっていることで悩んでいます。以前は2、3週間に一度、家族で週末やってきて食事をして帰っていったのですが、去年くらいからは週に2、3回はやってきます。

 

娘は5年ほど前から家計を助けるためにパートで働いているのですが、「夕食の用意をする時間がなくって大変で。お母さんの手料理、おいしいのよね!」と言って平日は息子2人を連れてやってきます。週末などは夫も一緒に家族全員で押しかけてきます。

 

最初は「孫の顔が見られる」と喜んでいたAさん夫婦ですが、頻度が度を越して上がってくると、さすがにストレスになってきます。やがてAさんの妻からは、「孫は育ち盛りだから食べる食べる! 食事の用意も大変よ。帰ったら帰ったで、後片付けやら掃除やらで大変なのよ。娘は『パートで疲れているから』とかなんとかいって食べたらさっさと帰っちゃうんだから。こっちは若くないから早く寝たいのに。それから、なにより食費が大変なのよ。夫婦2人で年金暮らしなのに、作る量は多くなるし、私たちの食べたくないものを作らないといけないし。特に今年はお米の値上げがキツいのよ。スーパーで値段見て腰が抜けそうになったわ」と小言が止まりません。

 

Aさんも最初は妻をなだめていましたが、最近は元気な孫2人の相手をするのも疲れてしまい、先日など食事をしながら居眠りしてしまい、箸を落として孫に笑われてしまったこともありました。