働き方に対する考え方は、ひと昔前と大きく変わりました。転職や起業などにより理想を叶えようとする若者たちの一方で、異なる世代からは、理解しがたいものがあるようです。本記事では、Aさんの事例とともに生涯におけるジョブプランについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
なにも理解できません…年収850万円の51歳団塊ジュニア父、Z世代息子の就職祝いにブランド時計を贈り男泣き。一転、半年後「退職代行を使って辞めた」にフリーズ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

息子の就職を祝った家族

Aさんは食品加工の企業に勤める51歳のサラリーマンです。Aさんの年収は現在850万円ほど。妻(48歳)は家計を助けるためにパート勤めをしています。一人息子のBさんは中程度の成績ですが、今年の春に大学を卒業し、無事都内のIT関連の企業に正社員として就職することができました。Aさんは、それぞれ仕事や学業で忙しくても、ときどき外食したりLINEグループでまめに連絡を取り合ったりして、「うちの家族は仲がいい」と思っていました。

 

Aさんは団塊ジュニアの世代であり、受験戦争も激しい時代で、猛勉強の末、希望の大学に入学できた人です。しかし、大学を卒業したころはバブル崩壊による経済的な不況の影響で新卒者の採用枠を減らした企業も多く、ここでもAさんは苦労してなんとか正社員として就職することができました。

 

正社員で就職したことで、ちゃんと就職できなかった仲間たちから妬まれたこともあります。しかしながら「失われた30年」を会社員として過ごしてきた生活は決して安泰ともいえず、特にここ数年は円安の影響で仕入れ価格等が上昇したことにより、会社はさらに厳しい状況です。そんななか、無事にBさんを大学まで卒業させ就職も決まったことで「やっと肩の荷が下りた。苦労したかいがあったね」と妻とともに息子の就職を大喜び。少し涙も出てしまいました。甘やかしすぎかなと思いつつも、就職祝いにはブランドものの時計を買ってあげました。

 

息子は大学卒業後、通勤に便利なようにアパートで一人暮らしをスタートさせ、Aさんたちとは別居することになりました。妻は一人息子のBさんが可愛くて仕方なく、パートの仕事の合間をみつけては電車を乗り継ぎ、合鍵を使って息子の部屋に入ってせっせと掃除をしたり料理を作り置きしたりしていました。

 

そんな母親をBさんは疎ましく思うでもなく「いつもありがとう」と感謝していました。