年を重ねるごとに、判断能力が衰えていく親の遺産をどこまで管理すべきでしょうか。そして、どのようにサポートを切り出すべきでしょうか。本記事では、実際にあったMさんの事例とともに、親の財産管理問題について、FP事務所・夢咲き案内人オカエリ代表の伊藤江里子氏が解説します。
母、交通事故で急逝。80代・年金暮らしの父が〈保険金800万円〉を受け取るも…1年後に発覚した“衝撃事実”に長男「なにかの間違いでは」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

保険金、事故による賠償金で800万円を手にした父

その後、母が加入していた生命保険から受取人である父に400万円が支払われ、事故で亡くなったため加害者の保険から遺族代表の父に1,200万円が振り込まれることになりました。

 

合計1,600万円について、4人で相談して、1/2の800万円を父に、残りの800万円をMさん、妹たちの3人で1/3ずつわけることになり、父からMさんと妹達にそれぞれ送金されました。

 

1.保険金額 800万円 死亡保険金受取人 父
2.保険金額 800万円 死亡保険金受取人 Mさん、妹たち

 

父の生活が徐々に変化する

もともと、父は社交的な性格だったので、母が亡くなったあとしばらくすると、これまで以上に友人達が家で集まるようになり、もともとの友人・知人がさらに人を呼んで、出入りするようになりました。

 

近くに住む長女、(Mさんの)甥や姪も様子を見に行きますが、「いま、友達が来ているから大丈夫。帰ってくれ」と、言われることもあり、「父には父の生活がある。健康面でなにかあったとき、人付き合いがないよりよいのでは」と、Mさんも妹たちもそれ以上は深く立ち入らないようにしていました。

 

しかし、Mさんが夜に電話をしても不在のことが多く、翌日に「昨日は友達とカラオケに行っていた」ということも。また、「これからは、貯金より投資だ」などこれまでの父と様子が違うと感じることもあったので一度確認しなければと思い始めました。

父が倒れて発覚した衝撃事実

そのような生活が1年続いたころ、突然父が倒れてしまいました。一命は取り留めましたが、体の一部に麻痺が残り、もうひとりで暮らせるような状態ではありませんでした。

 

入院治療中、父の住んでいた部屋からMさん達が通帳を見つけたとき、「なにかの間違いでは?」と、驚いたそうです。800万円だった残高は、1年も経たないうちに15万円しか残っていません。通帳にきれいに並ぶ「ATM払い出し」の印字。1日おきに5万円出金しているなど、3~10万円の金額が頻繁に引き出されていたのです。父は平均すると月に80万円も払い出していました。

 

やっと父と話ができるようになったのは、倒れてから数ヵ月後のことでした。頻繁に現金を払い出してなにに使ったのか聞くと、

 

「あまり覚えていない」

 

「友達に奢ったこともある」

 

「〇〇さんに10万円程貸したから、返してもらう」

 

また、「出資した分もある、配当が入ってくるはずだ。知り合いの紹介だから大丈夫」といった(証書もなにもないため)最初1~2回だけ少額の配当を受け取ってそれっきり、という詐欺にあったと思われる回答もありました。近所に住む父の知人によると、父が800万円受け取ったことをみんな知っていて、「スナックに行ったとき、店内の人全員に奢っていたこともあったよ」という話も聞きました。