借金の「良し悪し」
日本銀行が2016年から継続してきた「マイナス金利政策」を2024年3月に解除し、都市銀行などの普通預金金利は0.001%から0.02%に引き上げられましたが、わずかな上昇にすぎません。一方で、住宅購入を予定している人からは、低金利が続いてほしいと願う声が聞こえてきます。長期間にわたって続いている低金利で、借金に対するイメージは変わったのでしょうか。
今回は、「お金を借りること」とその目的について考察します。
お金を借りることへのイメージ
「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」の調査※1では、お金を借りることへのイメージをきいた結果がまとめら
れています。これによると「できれば借金はしないほうがよい」と考える人が全体の61.7%を占めています。年代別で見ると、18~39歳が約57%であるのに対し40~69歳は約62~64%と高く、年齢が若い世代の方が借金に対してやや肯定的です。
実際、総務省統計局「家計調査」※2によると、20代の借金保有率(借金をしている世帯の割合)は、1997年の15.2%から2022年には40.1%へと大幅に上昇しています。つまり、4人に1人の20代が借金を抱えているのです。さらに、借金の平均額も増加しており、2022年の20歳代の借金平均額は156万円と、1997年の58万円から約2.7倍に膨らんでいます。
また、「自分に役立つスキルを身につけるためのローンはよい借入れだ」と回答した人は世代によってばらつきがあり、18~29歳が最も肯定的に捉えていて、いったん40~49歳の世代ではそれが減少するものの、50歳以降は再び増加するという変化があります。「ギャンブルや浪費のための借入れ」に否定的なイメージを持つ人が多いとはいえ、どの項目も全体の半数以下に留まっています。もともと「良い借金」「悪い借金」について明確な定義はないからかもしれません。