2050年には「1.2人で1人の高齢者を背負う」ことに
年金制度のもう一つの特徴として、賦課方式であることが挙げられます。現在、受給者に支払われている年金の財源は現役世代であるということです。よく言われる話ではありますが、改めて直視すると、超高齢化社会の日本において、この先も成り立たせるのができるのか非常に不安な制度です。わかりやすい例があります。
“実際に今から50年ほど前までは、現役世代9.1人が1人の高齢者を支えていました(総務省「国勢調査」、社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口/2012年1月推計」)。これは「胴上げ型」とも呼ばれ、多くの人で支えていますから、1人の負担はそれほど多くありませんでした。
それが、2010年の時点では2.6人で1人の高齢者を支えるようになりました。これは「騎馬戦型」と呼ばれています。小中学校の運動会などで騎馬戦の経験のある人もいると思います。3人で1人を支えるのは不可能ではありませんが、なかなか大変なものです。少しの間ならまだしも、そのままずっと生活するとなれば、いずれ耐え切れなくなってしまうでしょう。
騎馬戦型の場合、単純計算で高齢者に毎月10万円の年金を支払うためには、現役世代が1人当たり、毎月4万円程度を負担しなければならないことになります。現役世代はマイホーム資金や子どもの教育費と、ただでさえ家計が苦しいのに、高齢者のためにそれだけの出費をしなければならないのは大きな負担です。
これだけでは終わりません。
さらに、2050年になると、1人の高齢者を現役世代1.2人が支えるようになるといいます。これは「肩車型」と呼ばれています。ほぼ1人が1人の年金を負担するわけですから、現実問題としては、ほとんど不可能ではないでしょうか。無理に支えようとすれば、現役世代自体が破綻しかねません。”『30歳から定年までで2億円つくる ほったらかし資産運用術』より
高齢者が長生きし続け、現役世代は減り続ける……。恐ろしい超少子高齢化社会を直視すると、年金制度をこの先成り立たせることができるのか、甚だ疑問です。
対策としては、①年金の受給額を減らす、②受給できる年齢を引き上げる、などが考えられますが、これはあくまで「年金制度を成り立たせる」ための対策であって、そのときの受給者(高齢者)に負担を強いるものとなります。