2024年3月19日、日本銀行は金融政策を決める会合で、マイナス金利政策を解除する見直しを決定しました。これにより、消費者にとって直接的に関わってくるのが、住宅ローンの金利です。住宅ローン金利の上昇に耐えられるライフプランを立てるには、どうすればよいのでしょうか? Aさん夫婦の事例とともに、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収800万円の30代共働き夫婦…予算オーバーの「住宅ローン6,000万円」を組むために「捨てた」生活必需品【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

本当に地方でも「自動車」は必需品なのか?

特に地方在住の会社員にとって家計の足手まといになっているのが「自家用車の維持費・購入費」です。自動車の維持さえなければ、子供の教育費や老後資金に問題がなくなる家庭が多いのが現実です。

 

自動車税、重量税、環境性能割、ガソリン、自賠責保険、自動車保険、整備費用、駐車場費用、自動車ローンの利息、そして約10年ごとの買い替え。「車を持ったら罰ゲーム」と揶揄されるほど税金の割合が多いのが特徴です。道路交通法違反を犯した場合には反則金も必要です。自動車を持っていなければ交通違反もないのですから、倫理を横に置けばこれも維持費のひとつといえます。

 

食費を削ったり、携帯電話料金を見直したりしても、その効果は自動車の維持費に比べたら微々たるもの。いっそのこと自動車を手放してみてはどうかと提案することもありますが、地方都市に住む方の多くがこういうのです。

 

「田舎では自動車は必需品です!」

 

たしかに、一家に一台どころか1人一台所有しているのはめずらしくありません。自営業の人などは1人で二台所有していることさえあります。

 

地方都市では自動車がなければ生活できない、それは本当なのでしょうか。莫大な維持費を支払い続けるほど、必要不可欠なものなのでしょうか。

 

結論からいうと、自動車が必需品なのではなく、「自動車がなければ成り立たないライフスタイルを選んでいる」のが現実ではないか、冷静に考えるべきときに来ているのではないかと筆者は考えています。

 

筆者は東北地方の出身であるため、自動車は必需品という感覚も十分理解できるし、そう思って生きてきました。しかし「自動車がなくても生活できる方法はないか」と真剣に検討した経験がある人は周囲を見渡してもほとんどいません。少なくとも、一家に一台で済ませることはできないのかとライフスタイルを考え直してみる機会が一度はあってもいいかもしれません。

 

事例では地方都市在住の会社員が、自動車を使わないライフスタイルを模索しながら住宅を購入した経緯をご紹介します。