加速度的に進行していく少子高齢化。それに伴い、私たちの負担はどんどん増えていきます。一方で、何か困ったときに経済的な支援となる手当てや補助金も。ただこれらは申請・請求しないともらえない「お金」。困ったときに使えるよう、普段から情報収集に努めておくことが肝心です。ここでは「医療」と「就職/失業」の際に検討すべき、手当金・補助金についてみていきます。
知らないと損する!役所に申請しないと「もらえないお金」【医療・就職/失業編】

税金や社会保険料の負担はどんどん増えていくが…

個人や企業などの所得に占める税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」。2023年度は前年より2ポイントほど下回り、46.1%となる見込みとされています。下落の要因は企業業績が回復したこと、雇用者報酬が伸びたことが要因。一方で、財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は54.6%で、前年比マイナス0.1ポイントと、ほぼ変わっていません。

 

国民負担率の推移をみていくと、1990年から2000年代までは30%台で推移していたものの、2010年代に入ると40%を超える水準で推移しています。これは2014年4月と2019年10月に、2度の消費税率引き上げ、そして高齢化に伴う医療や介護などの社会保障負担の増大が大きな要因とされています。さらに2022~2024年には、日本の人口のボリュームゾーンである1947~1949年生まれの団塊の世代が、後期高齢者に仲間入り。いっそうの負担増がいわれています。

 

どんどん税金や社会保険料の負担は増していき、ただ溜め息しか出ない……一方で、少子高齢化の対策などで、手当金や給付金も整備。しかし、これらのお金は、役所に申請・請求手続きをしないともらえないものです。知っているか、知らないか。それだけで大きな差が生じるのです。

「医療」に関する手当金・補助金

まずは、病気や怪我などをした際にもらえる「手当金・補助金」をみていきましょう。

 

傷病手当金

病気やケガで3日以上連続して仕事を休んだ場合、4日目から支給される、健康保険からの手当て。もらえるお金は「標準報酬月額÷30日×2/3」。最長で1年半支給されます。勤務先で手続きを行います。

 

高額療養費制度

医療費の自己負担が一定の上限額を超えた場合に、その超過分を支給する制度。69歳以下であれば、「住民税非課税の人」で自己負担額の上限は「35,400円」、「年収約370万円未満」で「57,600円」、「年収約370万円〜約770万円未満」で「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」、「年収約770万円〜約1160万円未満」で「167,400円+(医療費-558,000円)×1%」「252,600円+(医療費-842,000円)×1%」。加入している健康保険に申し出ます。

 

医療費控除

1月から12月までの医療費負担が10万円以上(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)となった場合に超えた分が所得控除される制度で、確定申告することで還付金を受け取ることができます。自身の医療費だけでなく、扶養家族の医療費等も計算に含めることができます。また治療費だけでなく、通院交通費(付き添いも含む)や医療費控除の対象となる薬代も含まれます。

 

障害年金

病気やケガにより日常生活や仕事が制限される場合に受け取ることができる年金制度。国民年金に紐づく「障害基礎年金」と、厚生年金に紐づく「障害厚生年金」があり、それぞれ異なる条件や納付状況に基づいて受給が可能です。手続きは年金事務所、または役所で行います。