人生設計が大幅に変わる「奨学金返済」の苦労
労働者福祉中央協議会が日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用し、現在返済中の人に対し行った『奨学金や教育費負担に関するアンケート』によると、奨学金の平均借入額は300万円強、月々の返済額は1.5万円ほど。平均返済期間は平均14.5年です。
さらに返済の負担感を聞くと、「余裕がある」は9.6%と1割を割り込み、「何とかなっている」が45.9%、「苦しい」が44.5%。さらに「苦しい」と回答した人のうち、「かなり苦しい」が20.8%でした。
奨学金の返済が生活設計に影響しているか聞いたところ、「影響があった」という回答が最も多かったのが「貯蓄」で65.6%。「レジャーや交際」48.4%、「仕事や就職先の選択」46.1%、「ひとり暮らしの選択」46.0%、「日常的な食事」42.2%、「車の購入」42.0%と続きます。さらに「結婚」37.5%、「出産」31.1%、「子育て」31.8%、「住宅購入」32.8%と、多くの人が経験するライフイベントにも、奨学金の返済は大きな影響を与えていることが分かります。
そして現状の家計について聞いてみると「貯蓄ができるぐらいの余裕がある」が30.9%、「収支トントンである」が48.1%、「貯蓄を取り崩してやりくりした」は21.0%でした。
返済の必要がある貸与型奨学金の利用は、卒業と同時に数百万円の借金を抱えることと同じ。その返済は、これから先の長い人生に大きな影響を与えるものです。もし返済が苦しい場合は、「減額返還制度を利用」するのも手。これは月々の返済額を減らして、返済期限を延長できる制度。また「返還期限猶予制度を利用する」という手もあります。これは奨学金の返済が困難な場合に返済期限を一定期間延長できる制度です。どちらも返済総額が変わるわけではありませんが、返済負担の軽減には効果的です。
また奨学金の返済に関して不安や悩みがある場合は、日本学生支援機構の奨学金返還相談センターなどに相談することもおすすめです。
[参考資料]