まだまだ元気だと思っていたが…まさかの事態に
Tさんは、まだまだ体は元気なので、しばらくは公営住宅でひとり暮らしをする予定にしています。どこか体が不自由になったら、施設に入るなりしようと計画していました。そんなTさんのポストに、ダイレクトメールやチラシといった郵送物がたまり始めました。
まだ公営住宅に入ったばかりで、近所の人もTさんのことをよく知らない人ばかりです。何となく気になるものの、誰が声をかけるわけでもありません。
ポストの入り口からダイレクトメールやチラシがあふれ始めた頃、近くの人が異臭に気づきました。季節は冬だったのですが、これまで嗅いだことがないような臭いがTさんの部屋からしてきたのです。
公営住宅の管理部に連絡をし、部屋を確認してもらいました。その後は警察が公営住宅に来て検視が行われました。
Tさんは誰にも気づかれずに、1人、部屋で亡くなっていたのです。それも死後1カ月が経過したあとの発見でした。
周囲との交流がない…ひとり暮らしの「孤立」は危険
Tさんは自立していて、福祉関係者との接点を持っていませんでした。自立できていたので安心し、見守りなどを頼んでいなかったのです。極めて外部との接触が少ない状況に陥っていたといえます。
見守ってくれる人がいないと、体調の変化や早期の生存確認が期待できません。高齢のひとり暮らしの場合、実は孤立していた、とならないよう対策を講じておくことが重要です。
近所の人などと普段から交流を持っておくと、いざという時に助かるはずです。生存確認をしてくれる人がいないなら、「見守り契約」の利用を検討しましょう。