年間100万人超が「退職金のもらい忘れ」という凡ミス
企業年金では、「請求忘れ」というミスを犯す人がいます。老後の生活に安心・安全を与える「退職金」を、なんと、もらい忘れるという人が実に多くいるのが実情なのです。
厚生労働省『厚生年金基金等の未請求者の状況について』によると、令和4年年度末で、厚生年金基金の受給権者10.0万人に対して、「未請求者」が2,000人。受給権者に対する「もらい忘れ」は1.7%。
企業年金連合会に移管されている企業年金の受給権者は1,229.0万人に対し、「未請求者」は107.7万人。受給権者に対する「もらい忘れ」は実に8.8%となっています。
未請求者の状況についてみていくと、住所変更などを行わず郵便物が届かない「請求書不達者」が64.8万人、郵便物は届いているのに手続きをしていない「請求保留者」が42.9万人もいます。
退職金や企業年金の請求には時効があって、労働基準法115条で5年と定められています。企業年金の請求権には、年金を受ける権利である「基本権」と、分割された年金ごとに発生する受け取る権利である「支分権」、前者は「知った時から10年、権利を行使できるときから20年のいずれか早い方」(民法168条)、支分権は「知った時から5年、権利を行使できるときから10年のいずれか早い方」(民法166条)と定められています。
確定企業給付年金は、規約によって民法より長い時効期間を定めている場合もありますが、いずれにせよ、時効によって企業年金は消滅してしまう恐れがあるのです。
自ら退職金を失うことのないよう、郵便物は必ず目を通し、速やかに手続きを行いましょう。
[参考資料]