少子化対策の財源確保として「1人当たり月500円弱の負担」が物議を醸しています。給与からの天引き額は増えていくばかりで「税金がヒドイ!」と批判の声が挙がることもしばしば。果たして、どこまで日本人の負担は大きくなっていくのでしょうか。
税金がヤバすぎる!平均「月収35万円」日本のサラリーマンの悲鳴…現役世代の負担はどこまで大きくなるのか?

国民負担率46.8%…日本人の負担は海外ほどではない?

少子高齢化が進むなか、社会保障費は加速度的に増えています。それに伴い、国民負担率も増加の一途を辿っています。

 

財務省では国民や企業が税金や社会保険料などとして負担している割合を示す指標「国民負担率」を公表していますが、2023年は46.8%。10年前の2013年は40.1%、さらに2003年は34.1%と、ここ20年でぐんと伸びています。

 

ちなみに国民負担率は「(租税負担+社会保障負担)÷国民所得(個人や企業の所得)×100」で計算します。

 

国民負担率が上昇すれば、国民や企業の負担は重くなり、国家の歳入が増えるため、社会保障制度を補完できるようになります。一方で負担が増えることで所得が減少し、経済が低迷する可能性も。国民負担率が下がれば、、国民や企業の負担は軽くなり、所得が増えるため、経済の活発化が期待されます。一方で国家の歳入が減るため、社会保障制度の充実に限界が生じる可能性があります。

 

ちなみに国民負担率は世界では使われておらず、GDP比で租税や社会保障の負担を評価する指標がスタンダード。財務省の資料よると、国民負担率は日本はOECD加盟国36ヵ国のうち22位。対GDP比では33.5%で、フランス47.7%、イタリア42.9%、ドイツ40.7%と、英国34.7%、カナダ34.2%と、先進7ヵ国をみても、日本よりも低いのは米国だけです。

 

この数値から「海外に比べて日本の負担率は軽い」とか「まだまだ負担を重くできるはず」などという専門家も。しかし物価ばかりがどんどん上がっていき、給与は据え置きといういま、少しの負担増でも苦しいのが実情。少子高齢化が進むなか、その分、一人ひとりが負担しなければいけないことは重々わかってはいるものの、ちょっと今は勘弁してほしいものです。

 

[参考資料]

国税庁『所得税のしくみ』

財務省『令和5年度の国民負担率を公表します』