(※写真はイメージです/PIXTA)

親族が集まり、亡くなった人の財産をどう分けるか話し合いをする場面を見かけることがあります。これは「遺産分割協議」といって、遺産分割に関する遺言が残されていない場合に相続人が行う会議です。遺産相続の不公平などについて話し合う場でもあります。本記事では『ふと、終活のことを考えたら最初に読む本』(日本実業出版社)から一部抜粋し、遺産分割協議の手順やルール、不公平の修正などを解説します。

遺産分割協議で不公平を修正することもできる

先生 遺産分割で、法定相続分に従って遺産を分けようとするとき、1人ひとりの相続分が法定相続分だと不公平と判断されるような場合があります。

吉田 法定相続分なのに不公平?

先生 たとえば、生前、故人から多額のお小遣いをもらっている人がいたら?

小春 すでにもらいすぎているから、その相続人は、法定相続分から減らされるべきよ。

先生 そうですね。その場合は特別受益という仕組みで公平な相続を実現できます。また、ほかにも寄与分、特別の寄与制度で公平を実現できます。

小春 3つあるのね。

 

「特別受益」とは、一部の相続人だけが、遺贈や生前の被相続人からの贈与等を受けていた場合の利益のことです。

 

たとえば、社長をしている父親が、後継者の長男だけに、お金や高級車、不動産や株式などを生前贈与していた場合です。この場合の長男を「特別受益者」といいます。

 

相続人の誰か1人に特別受益がある場合、法定相続分のまま遺産を分けると、特別受益者とそうでない人の間に不公平が生じます。

 

そこで、遺産分割では、特別受益者のもらいすぎの分を戻して、相続財産の配分の計算をします。これを「持ち戻し」といいますが、実際にもらったお金や物品などを相続財産に返還させるということではありません。

 

 

次に、「寄与分」についてです。一部の相続人が、生前の被相続人を献身的に介護していたり、生活費を与えていたりしたなどの場合に、その貢献のことを寄与分といいます。

 

たとえば、父親が亡くなって3人の娘が相続をしたとします。長女だけが長い間、父親の看病や介護、生活の援助など献身的に世話をしていて、それが無償で行われていたような場合です。

 

このとき、長女の貢献度が相続分に反映されます。寄与分のある相続人が遺産を多くもらえるのです。

 

具体的には、その貢献のおかげで、故人の財産が減らなくて済んだ(出費を免れた)、あるいは財産が増加したというような考えのもとに、寄与分として金銭的に評価されます。

 

また、寄与分と似て非なるものとして、「特別の寄与」という制度もあります。たとえば、先ほどの寄与分では長女の貢献について考えましたが、ここでは法定相続人ではない長男の妻の貢献についてです。

 

親族である長男の妻が献身的に介護していた場合、長男の妻は相続権はなくても特別の寄与料が請求ができるようになっています。

 

 

加藤 光敏(あんみつ先生)

司法書士

 

※本記事は『ふと、終活のことを考えたら最初に読む本』(日本実業出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

 

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