2024年から始まった新NISA。これを機会に「投資に初挑戦!」という人もいるのではないでしょうか。一方で、「新NISAが始まっても投資はしない」という人も。投資をしない人を取り巻く実情をみていきましょう。
「投資する人」と「投資しない人」に260万円の年収差…「新NISA」で露呈する、日本人の酷い経済格差

投資を呼びかけられても…自助努力さえできない「日本人の八方塞がり」

さらに調査では回答者の世帯年収、年収を聞いています。それによると、世帯年収は投資経験によって大きく異なり、「投資している(10年以上)」層と「投資はしていない」層を比べると、世帯年収で324万円、年収で259万円の差があることが判明しました。

 

投資をするにしても、まずは元金が必要……「投資をしていない」ではなく「投資などできる余裕がない」という実情が、この結果からも読み取ることができます。

 

厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和5年12月分結果速報』によると、現金給与総額は32万9,859円(1.2%増)。そのうち一般労働者は43万6,849円(1.8%増)。一方で実質賃金は前年同月比1.9%減。実質、給与が減っている状況は、かれこれ2年近くも続き、私たちの生活は苦しくなるばかり。

 

一方、将来に対しても明るい見通しはたちません。少子高齢化のなか、年金財政は厳しくなるばかりで、2040年代には、年金受給額の2割目減りは確実。その穴を埋めるために、投資による資産運用を促していますが、社会負担はさらに増加。公的医療保険料に上乗せするという子育て支援金「月500円弱」の国民負担は、共働きであれば年1万2,000円ほどになるとされています。

 

これからも社会を支えるためにも、さらなる負担増は仕方がないこと。しかし資産運用に回すお金すらなく、自助努力さえできない……「投資できる人」と「投資できない人」、格差はさらに酷いレベルになっていきそうです。

 

[参考資料]

金融庁『新しいNISA』

カネとホンネ調査研究所『資産運用についてのアンケート』

厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和5年12月分結果速報』