(※写真はイメージです/PIXTA)

人生のエンディングを準備する「終活」にあたっては、自分がいなくなった後、遺族がどのように遺品整理を進めるのか知っておくことも大切です。本記事では『ふと、終活のことを考えたら最初に読む本』(日本実業出版社)から一部抜粋し、遺品整理のタイミングや注意すべきポイントをご紹介します。

1人で遺品整理をするときに注意したいこと

先生 1人で遺品整理をするとどんな問題があるのか、もう少しくわしく考えていきましょう。

 

吉田 1人で遺品整理をするのは大変かもしれないけど、いいこともあるかもしれないですね。

 

小春 片付けのとき、思いがけずお宝を見つけたらどうなるのかしら?

 

吉田 それは、自分のものにしていいでしょ!

 

小春 でも先生、共同相続人がいたら問題になるのよね?

 

1人で遺品整理をする場合、遺品を勝手に売ったり持ち去ったりすることは、調査の範囲を逸脱しているのでできません。

 

整理した遺品をトランクルームなどに保管しておいて、あとで他の相続人の同意を得てから捨てるなどの方法もあるでしょうが、1人で遺品整理をする場合は、事前に他の相続人の同意を取っておき、トラブルにならないように注意しましょう。

 

たとえば、1人で遺品整理をしたあとに、他の相続人から「ロレックスの時計があったはず。どこへやったのか」などと言われて、「知らない。そんなものはなかった」と言っても納得してもらえないでしょう。間違って捨てたとしても、本当に間違って捨てたのか、どこかに隠しているのではないかと疑われてしまうかもしれません。

 

 

こうしたトラブルを防ぐには、

 

①遺品整理の現場の記録を残す

②スマホやデジカメ等で遺品を撮影する

③簡単な貴重品リストを作る

 

など、何らかの証拠を残しておくといいでしょう。

 

しかし、これらの証拠を残す方法も万全ではありません。この方法は遺品があった証明にはなりますが、ないものは記録も撮影もできないからです。ロレックスがなかったことを証明していないのです。

 

1人で苦労して片付けをしたのに、片付けに非協力的だった相続人から、あとで文句を言われてしまうかもしれません。

 

このようなトラブルを防ぐためには、相続人全員で遺品整理をするのが理想的な方法です。

 

相続人全員で立ち会って確認したほうがいいのは、目で見える遺品だけではなく、被相続人のパソコンの中にあるデータ情報、たとえばネットバンキング口座や証券口座なども同様です。

 

なお銀行の貸金庫の場合は、そもそも相続人1人で確認することはできません。相続前は貸金庫の開け閉めを子供などの代理人が行っても問題ないのですが、相続後は遺言書でとくに指定されていなければ、相続人の誰か1人が開けることはできません。相続人全員の立ち会いのもとで、貸金庫を開けなければなりません。

 

家にあるような遺品の確認であれば、1人で確認をすることもできますが、貸金庫などのように第三者が保管していた遺品(財産)については、相続人全員の立ち会いが必要なケースが多いといえます。

 

 

加藤 光敏(あんみつ先生)

司法書士

 

※本記事は『ふと、終活のことを考えたら最初に読む本』(日本実業出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

 

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