日本企業の7割超を占める“非上場オーナー企業”…業界・事業規模を問わず共通する〈経営課題〉とは?【経営変革のプロが解説】

日本企業の7割超を占める“非上場オーナー企業”…業界・事業規模を問わず共通する〈経営課題〉とは?【経営変革のプロが解説】

日本にある約386万社の企業のうち、7割超を占める「非上場オーナー企業」。対峙する業界・競争立地・競争環境はさまざまですが、共通した経営課題を抱えているといいます。本稿では、企業の経営変革を支援する株式会社TS&Co.の創業者兼代表取締役グループCEOである澤拓磨氏が、非上場オーナー企業ならではの経営課題について概観します。

非上場オーナー企業ならではの典型的な経営課題とは何か

非上場オーナー企業266万1,434社とは何者かを明らかにするため、次に、非上場オーナー企業ならではの典型的な経営課題とはなにかを考察する。

 

前述の通り、企業ごとに対峙する業界・競争立地・競争環境等は異なり、結果的に経営課題は各社固有、その解決策は特殊解となる。こうした前提のもと、あえて非上場オーナー企業に共通する普遍的な経営課題の一例を挙げると、以下のようなものが想定される。

 

・オーナー及びオーナー家の人生
・時代・世代を超えた超長期の経営ストーリー
・後継者育成
・事業承継
・事業ポートフォリオ戦略
・成長戦略
・再生戦略
・人材マネジメント
・デジタルマーケティング

 

昨今の潮流として、事業承継はイメージしやすいかもしれない。

 

ここでいう事業承継とは、事業を承継するためにM&A(合併・買収)等を活用するオーナー主導のコーポレート・アクションを指す。

 

過去、筆者がコンサルティングに携わった案件では、オーナー兼社長自体の年齢はまだ40代と若かったものの、自身の人生ストーリーを踏まえ、残された時間を別のテーマに配分したいとの理由から事業承継を企図していた。

 

しかしながら、ご多分に漏れず後継者がおらず、オーナー兼社長にも続投の意志がないことから、本格的に事業承継に向け動き出すこととなった。結果、半年程度の交渉プロセスを経て、無事に事業承継に成功。そのオーナー兼社長は、時間と一定の軍資金を得て、事業承継以前に描いていた別のテーマへと歩を進めている。

 

矢野経済研究所が算出したデータでは、2035年まで中小企業において事業承継を企図する社数は増え続け、2025年に92,175社、2030年に94,655社、2035年95,234社を見込む。

 

2035年には、非上場オーナー企業266万1,434社中95,234社と、実に3.5%の企業がこの課題と向き合うことになる。経営者の高齢化や後継者不在に課題意識を持つ非上場オーナー企業は、日々の事業活動に努めるとともに、事業承継に関する準備(後継者育成や承継スキームの検討、専門家の選定等)を進めておくと良いだろう。

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