60万の「ひとり親世帯」が貧困状態にある
日本の貧困問題。ひと昔であれば、「日本に貧困問題なんて」と笑う人も多かったですが、終わりのない物価高、増えることのない給与に、生活苦に陥る人が増加。いまや身近な問題といっても過言ではありません。
ここで語られる貧困は、相対的貧困。国・地域の生活レベルとは無関係に、生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態である絶対貧困とは異なり、その国や地域の水準の中で比較して大多数よりも貧しい状態のことを指します。世帯の所得は、貧困線に満たない状態のことを言います。
*等価可処分所得(世帯の可処分所得=収入から税金・社会 保険料等を除いた手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整 した所得)の中央値の半分の額
厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、2021年の貧困線127万円。単純計算、手取り月10.5万円に満たない世帯が15.4%。また子どものいる世帯では10.6%、特にひとり親世帯では44.5%が相対的貧困状態にあります。
2021年調査では、ひとり親世帯は134.4万世帯。そのうち母子世帯が119.5万世帯、父子世帯が14.9万世帯でした。単純計算、60万のひとり親世帯が貧困状態にあるといえます。さらにひとり親世帯の収入分布をみていくと、年収80万円未満、1ヵ月の収入が6.6万円に満たない世帯が25%。4世帯に1世帯というのが現実です。
【ひとり親世帯の収入分布】
40万円未満:5.5%
40万~60万円:8.2%
60万~80万円 :11.3%
80万~100万円:10.8%
100万~120万円:7.1%
120万~140万円:9.7%
140万~160万円:9.3%
160万~180万円:8.2%
180万~200万円:5.6%
200万~240万円:13.5%
240万~280万円:3.8%
280万~320万円:4.1%
320万円以上:2.9%