テクニカル分析専門サイト『テクニカルブック』は、投資家が経験した損失について調査する目的で、過去に投資をしたことがある350名を対象にアンケートを行いました。本調査からは、4人に1人の投資家が100万円以上の損失や投資資金の半分以上を失う経験をしているなど、投資家の損失に関する実態がみえてきました。
4人に1人が「100万円以上」の損失を経験…投資家たちの“過去最大の大損”エピソードに学ぶ〈相場の急変〉への備えとは? (※写真はイメージです/PIXTA)

 

3.「国内株式(現物取引)」で損失を出した人が48.5%と最多

 

 

何の投資において過去最大の損失を経験したか質問したところ、最も多いのが「国内株式(現物取引)」の48.5%、続いて「投資信託(ETF、REITを含む)」の24.1%、「FX(外国為替証拠金取引)」の15.2%という結果でした。

 

今回の調査では、「国内株式(現物取引)」で最大損失を出した人が多かったことが分かります。

 

なお、他の調査では、国内株式に投資している人が最も多いという結果も出ており、これは国内株式の取引をしている人が多いからこその結果といえるかもしれません。

 

 

上のグラフは、他の調査における投資対象の割合を整理したものです。1位は「国内株式」の65.2%、2位は「投資信託(ETF/REITを含む)」の56.7%となっており、この2つに投資をしている人が圧倒的に多いことが読み取れます。

 

なお、先ほどの過去最大の損失を経験した投資の割合を見てみると、国内株式(現物取引)は投資信託の倍近い数となっていました。投資対象の割合と比較して国内株式が投資信託に大きく差を付けての1位となっており、投資信託と比較した場合には国内株式が大きな損失を出しやすいといえるかもしれません。

 

同様に、投資対象の割合において「FX(外国為替証拠金取引)」「債券(国債/社債/外国債など)」「暗号資産(ビットコイン)」は同程度の値となっている一方で、先ほどの過去最大の損失を経験した投資の割合では、FXが他を離して高い割合となっています。

 

この3つの中では、FXで過去最大の損失を経験した人が多かったことが推測できそうです。

 

4.レバレッジがかかる投資は損失割合が高くなる傾向

 

上のグラフは、投資資金に対する過去最大の損失割合を、投資対象別に集計したものです。投資対象の種類によって、以下のようにレバレッジがかからない投資は青系で、レバレッジがかかる投資は紫系の色で表示しています。

 

▼青系で表示
国内株式(現物取引)
外国株式(現物取引)
投資信託(ETF、REITを含む)
債券(国債、社債、外国債など)

▼紫系で表示
国内株式(信用取引)
外国株式(信用取引)
先物・オプション
FX(外国為替証拠金取引)

青系と紫系のグラフの形状を比較すると、青系は概ね右肩下がりを描いているのに対して、紫系は必ずしも右肩下がりとはなっていません。このことは、レバレッジがかからない投資では損失割合が高くなるにつれ発生可能性が下がるのに対して、レバレッジがかかる投資では損失割合が高くなっても発生可能性が下がるとは限らないことを示しているといえるでしょう。

 

レバレッジがかかる投資で大きな失敗をすると、投資資金の多くを失いやすい傾向があるといえるでしょう。そのため、リスク管理の徹底が重要性が高まると考えられます。

 

5.リーマンショックなどの相場の急変に巻き込まれて過去最大損失を出した人が多い

過去最大の損失を出した際の状況について自由記述形式でエピソードを募集したところ、リーマンショックなど、相場の急変に関する記述がみられました。このことからは、相場急変において過去最大の損失を出した人が多いことが推測されます。

 

以下では、相場急変に巻き込まれた人のエピソードを10個ピックアップして紹介します。

 

▼リーマンショックに関するエピソード

・定年後株式売買を始めた、あまり経験がない時にリーマンショックが起こった。現物と共に信用取引も行っており、途中から怖さも感じて株を売った。(70代・男性/茨城県)

・リーマンショックで投資信託の価値が大幅に下落していたのに、素早い対応ができなかった。(70代・男性/広島県)

・国内株式を知識を持たずになんとなく買ったが、リーマンショックが起きて、半額程度まで下落してしまった。いずれ持ち直すと思っていたが、10年以上戻らなかったので損切をした。(50代・女性/徳島県)

・外科手術の入院中にリーマンショックに遭遇、ネット、直接取引が出来ず、尚且つ後遺症のため2か月超退院遅れ、損切りが遅れたため。(70代・男性/岐阜県)

・FXでポンドを保有していたが、リーマンショックの発生によりあっという間にマイナスが膨らみ、損切りの損失を賄う為にナンピン買いで更にマイナスを被るという悪循環。(50代・男性/山口県)

 

▼その他の相場急変に関するエピソード

・信託での運用をしていて、コロナ流行の始めに大きな下落があった。こういう重大な場面に慣れておらず信託を手仕舞して資金をひきあげたが、それ以降意外に早く価格が回復してしまった。現在はさらに価格が伸びて機会損失も大きかった。(50代・男性/栃木県)

・ライブドアショックで関連会社の株が下落した。(50代・男性/東京都)

・イギリスのEU離脱の円高でFXの損失。離脱の賛成票が反対を上回るとは思わなかった。(60代・男性/神奈川県)

・ブレグジット、トランプ当選。ウクライナetc.地政学リスクに翻弄された。(60代・男性/大阪府)

・ハイテク株を1000株保有していたが、ITバブルがはじけて株価が7割ほどさがり900万円ほどの損失を出した。(70代・男性/岐阜県)