「温かい木造住宅」に潜む“腐敗”のリスク
マイホームと一言で表現しても、その種類は実に様々。家の構造には、
・木造
・鉄骨造
・鉄筋コンクリート造(RC造)
などが挙げられます。
木造住宅には、多くの場合「鉄筋よりも建築コストが低い」というメリットがあります。そして木造住宅の最たる特長は「温かみ」。「鉄筋コンクリートは殺風景な感じがしてどうも…」といった声は多いものです。
どんな材料で家を建設するかによって住み心地は一変します。そしてメリットだけでなく、デメリットも変わっていきます。木造の家で気になるのは、「木が腐ってしまうのでは?」という点でしょう。実際に木の腐敗は発生しているようです。
“「高気密・高断熱住宅の木造住宅は腐りやすい」と主張する人もいます。これは正しくは、「高気密・高断熱住宅をうたっていながら、中途半端な断熱や気密の家は木材が腐りやすい」ということです。この原因は「結露」にあります。
家の中と外で温度差、湿度差が大きい住まいでは、室内で発生した水蒸気が壁の中に入り込み、壁や断熱材などの内側に結露ができる「内部結露」が発生しやすくなります。
窓の結露は水滴がつくため目で見えますが、内部結露は壁や木材に吸収されてしまうため見ることができず、すぐには分からないのでとても怖いものです。
そして木を腐らせる「腐朽菌」が繁殖し、住宅の主要構造部である柱や床、土台などの木材を腐らせ、家の寿命を著しく縮めてしまうのです。”『“健康住宅"のウソ・ホント』より
『平成30年 住宅・土地統計調査住宅数概数集計 結果の概要』(総務省統計局)によると、一戸建は木造が92.5%、長屋建は木造が67.7%。これに対し、共同住宅は非木造が87.5%と、構造は建て方により大きく異なっています。
住宅の構造別割合の推移をみると、木造の割合は、昭和53年には81.7%と8割以上を占めていたものの、その後は徐々に低下し、平成30年では56.9%となっています。一方、非木造の割合は、昭和53年の18.3%から一貫して増加し、平成30年は43.1%となっています。
木造は減少傾向にはあるものの、その腐敗は、実に日本の半数の住宅に懸念されることなのです。