Tさんの当選により2人の関係に異変が…
年末が訪れ、毎年の恒例行事となった宝くじ当選番号の確認をしたところ、異変が。なんと、Tさんが購入した宝くじのなかに1等前後賞(1億5,000万円)があったのです。驚きのあまり膝がガクガクと震えるTさん。何度も番号を確認します。声も出せずに、しばらく放心状態でいたところ、Sさんから電話が入りました。
震える手で携帯電話を持つのがやっとの状態で電話にでると、Sさんから、「どうだった? 俺はいつもどおりだったよ」と明るい声が。
ですが、会話が続かないTさんに異変を感じ、「え、まさか……」
Tさんは正直に1等前後賞が当たったことを告げると、Sさんがすっ飛んできました。
何度みても番号が一致。夢が現実となり、Sさんは自分のことのように大喜び。その姿をみたTさんはやっと素直に喜びをあらわにしました。ただし、いまは2人だけの秘密にしようと約束します。
年明けすぐにTさんは銀行へ。その日の夕方、2人でいつもどおり居酒屋へ行き、今後のお金の使い道について話をしました。Tさんはもともと生真面目な性格で、ネットの書き込みに、“高額当選しても破産する”という記事をみていたため、このまま黙っておいて、家族にもばれない程度に住宅ローンの繰り上げ返済と子どもの教育費に少しづつ充てようと思う、といいます。
一方、Sさんが心苦しそうに口を開きます。「住宅ローンと子どもの大学進学で資金繰りが厳しいから、一時のあいだだけ。少し、お金を貸してくれないか……」
Tさんは初めは少々渋りましたが、親友のため、結局はSさんに100万円を貸すことにします。
しばらくTさんは出張が続き、Sさんと会うことができずに過ごしていました。2ヵ月が過ぎたころ、ようやく仕事の目途が立ち、Sさんに定例の呑みにいかないかと連絡をとりました。
久しぶりに会ったSさんの顔色に違和感を覚え、なにかあったのかと尋ねたところ、Tさんは、借りた100万円の一部を投資にまわしたら、大損したとのこと。申し訳ないが、あと100万円用立ててくれないか、というのです。
Tさんは戸惑いながらもほかならぬSさんの頼みだからと、投資をしないようきつく約束させて、もう一度100万円を貸すことにしました。その後、Tさんは駅で偶然別の同級生に会い、驚愕の事実を耳にすることに……