定年まで勤め上げ、夫と静かに老後を過ごす――。どうやら、それだけが「正解」ではなくなったようです。典型的な幸せの枠から抜け出し、長い間封印してきた本来の自分を取り戻すこと。まったく新しい「セカンドライフ」を歩むための、現代的な生き方の一つなのかもしれません。本記事では社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が、Aさんの事例から、人生後半戦の多様な選択肢について考えます。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
大人しかった妻の「豹変」に驚愕しました…世帯年収1,500万円だった夫婦。50歳妻が突如大企業を早期退職、髪を「ピンク」に。恐る恐る聞いた“ワケ”に夫絶句【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働き夫婦の妻、突然すぎる変貌ぶり

ともに50代となった夫のAさんとその妻は、大企業で働く共働き夫婦でした。Aさんが30代、妻が20代のころ、親の勧める大企業勤め同士のお見合いがきっかけで結婚しました。

 

その後、すぐに妊娠・出産し、妻は育児休業を取得します。しかしAさんは仕事が忙しく、子育てにはあまり協力的ではありませんでした。育休明けに妻はすぐ職場復帰を果たしますが、お互いの多忙さと、夫の育児への非協力的な態度からわだかまりが生じ、出産後からは家庭内別居状態に。いわゆるシェアハウス的な暮らしを続けてきました。

 

世帯年収は1,500万円を超え、世間からはパワーカップルといわれる2人ですが、冷え切った関係は続きます。妻は早くに結婚したため、一人息子が成人するころにはまだ40代後半。親としての役割を終え、会社ではこれから役職に就いてバリバリ働く時期に差し掛かったところでした。

 

ある日、Aさんが帰宅すると、妻は先に帰宅していました。お風呂から上がってきた妻をみて、Aさんは違和感を覚えます。そしてその違和感はすぐに驚愕へと変わりました。なんと妻の髪の毛が鮮やかなピンク色になっていたのです。

 

いつもなら、すぐに部屋に直行するAさんでしたが、今日に限っては素通りできず、部屋に行こうとする妻を呼び止め、「その髪の色はどうしたの?」と聞きます。

 

妻は、「珍しい、いままで美容院にいって髪を切っても声をかけることなんてなかったのに」と返します。

 

Aさんは動揺しながら、「いやいや。……その髪の色で会社にいっても大丈夫なのか、心配になって」と答えました。

 

すると妻は平然と言い放ちます。

 

「この髪の色で会社には行けないわよ。だから会社は退職したの。息子も独立したし、住宅ローンもないから問題ないよね」

 

Aさんは、妻が突如会社を辞めたことにさらに驚き、なにがなんだかわからない状態です。恐る恐る、会社を辞めた理由と髪をピンクにした理由を聞いてみました。