「楽して稼げる仕事はない」大人は経験則で知っていても、社会に出る前の若者にとって、その境界線はあまりに曖昧です。近年、大学生をターゲットにしたトラブルは複雑化しています。本記事では社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が、Aさんの事例から、親子で共有すべきリスク管理を考えます。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
な、なにやってんだ…年収350万円の50歳父、上京した大学生息子から届いた「大企業内定」の吉報がクリスマスに一変。両親を凍らせた「戦慄のひと言」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

東京で一人暮らししたい息子、心配する両親

Aさんは都内大学に通う4年生。地方の進学校出身で、「大学進学を機に上京して一人暮らしをしたい」という目標を持って勉強に励んできました。実家の父(50歳)は、年収350万円の会社員、母は親の介護をしながらパート勤めという家庭です。当初、両親は地方出身の息子が都内の大学に通うことに心配し反対。しかし、勉強熱心な息子を目の当たりにし、「都内の有名大学に入って大企業に入社できれば」と応援するようになりました。

 

見事、大学受験で3校に合格したAさん。第一希望の大学に決め、念願の上京を実現します。初めての都会での生活に胸を躍らせる半面、「友達はできるだろうか」「お金がなくてサークルや遊びの輪に入れなかったらどうしよう」と不安もありました。

 

Aさんは高校まで地元の仲間と学校生活を楽しく過ごしていましたが、決してコミュニケーション能力が高いわけではありません。むしろ時間をかけて仲を深めていくタイプ。大学の入学式では近くに座った人と一言二言、会話した程度で帰宅。「早く友達を作りたい」と焦りを感じました。

 

初めてできた友達

まずはサークルに入ってみようと、高校の部活動でやってきたテニスのサークルを選びました。歓迎会で自己紹介し、なんとなく馴染めそうかなと安堵していたところ、隣に座った同級生Bさんと意気投合。授業を一緒に受けるようになります。Aさんにとって大学で初めてできた友達でした。

 

両親に「友達もできてバイトも決まった。履修もサークルの先輩から教えてもらえて順調」とLINEを送ります。大学生活をスタートしたAさんは、当初の不安も跳ねのけ、勉強以外もさまざまなことを経験しようと充実した毎日を過ごしていました。