FPに相談してみた
長女のKさんがいつも資産運用のアドバイスを得ているFPに事情を相談してみました。高齢の親の結婚によって、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。FPからは次のような現実を突きつけられました。
・父親Yさんが再婚すると、相手の女性が「配偶者」として法定相続人になる
・配偶者は常に法定相続人となり、1/2の法定相続分を持つ
・Yさんの子ども3人が相手の女性と「養子縁組」をしなければ、相手の女性が亡くなったあとで法定相続人になれないので、二次相続の財産は相手の子どもに渡る
・相手の家族にとっても同様のことが起こる
「配偶者に相続させないよう遺言書を書くことはできるのでしょうか」とKさん。
「一応できますが、遺留分という最低限の権利は侵害できません。法定相続分の半分が遺留分として侵害されない権利なのです。つまり1/4は法定相続分を絶対に持ちます」
遺留分も放棄するよう「切に願う」と遺言書に付記したとしても、強制力はなく無効です。放棄するかどうかを決めるのは被相続人(死亡した人)ではないからです。
「対策はなにかあるでしょうか。父親の財産はすべて父親が蓄財したわけではなく、創業者である母親のお父さんから相続したものも含まれているんです。それを守らなきゃなりません」とKさん。
「財産のうち現金部分を生命保険にすることで、お父さんが亡くなったあとでそのお金は“受取人固有の財産”となります。つまり支払った掛け金を将来そのまま死亡保険金として受け取ると、固有の財産となって相続分割の対象ではなくなります。もちろん相続税の問題は解決しませんが、分割の問題は少し解決するかもしれません」FPがそう言います。
「しかしお父さんはすでに相続税の納税資金を確保するために生命保険に入っているでしょうから、これ以上の契約は一社では難しいかもしれません。複数の保険会社に分散させる必要はあります。あとは、新しいお母さんとの養子縁組は絶対やってください。二次相続で権利を失います。しかし相手のご家族は不愉快な気分になると思います……」
相続のための養子縁組か……吐き気がする……とKさんは拒絶反応です。
FPに相談したことで、リスクと一応の対策がわかりました。相続の問題はどうにかなりそうですが、なぜか「腹が立つのはそこだけじゃない」という気持ちです。