ふるさと納税のポイント付与が禁止に
令和6年6月25日、総務省はふるさと納税について、令和7年10月1日より寄附に伴うポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止する決定を発表しました。つまり、セゾンのふるさと納税、楽天ふるさと納税やふるさとチョイスといった仲介サイトを通じてふるさと納税を行った場合、これまで仲介サイト内でもらえていたポイントが、2025年10月からはもらえなくなるということです。これにより、自治体、仲介サイトおよび我々ふるさと納税の利用者は大きな影響を受けることになります。
実際、楽天グループは総務省からの発表があった直後の6月28日から、反対書署名を開始し、10日程度で約100万人以上の反対署名を集めたことを公表しました。
実はメリットだけじゃない…ふるさと納税の意外なデメリットとは
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限はあります)。
たとえば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、3万円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である2万8,000円(3万円-2,000円)が所得税と住民税から控除されます(総務省HP「ふるさと納税のしくみ」より)。
2,000円の経済的な負担だけで、返礼品がもらえることに加えて、さらに、仲介サイトからポイントがもらえるとなると、ふるさと納税の利用者にとってふるさと納税は2つのメリットがあり、有利な制度だと思われますが、1点だけデメリットもあります。
それは、総務省がいう「所得税と住民税が控除される」タイミングが遅いという点です。つまり、ふるさと納税は、寄附をした瞬間に自分の通帳にいくらかの税金が戻ってくるわけではなく、ふるさと納税の寄附をしたのちに、遅れて節税メリットが発生するのです。わかりやすくするため、令和6年中に3万円のふるさと納税をしたAさんを例に、所得税と住民税にわけて考えていきます。
所得税
所得税分の控除がされるためには、年が明けた令和7年1月1日以降に確定申告をしなければなりません。年明け早々に確定申告をしたとしても、税務署から所得税が還付されるのは早くても2月上旬くらいになります。そのため、1月1日にふるさと納税した場合であれば、還付までに1年強かかります。一方、12月31日にふるさと納税をした場合であれば、1ヵ月程度で所得税は還付されます。
つまり、所得税は早いタイミングで確定申告をしたとすると、最長で1年強、最短で1ヵ月程度で税金が戻ることになります。
ここで、次の住民税の解説のため、仮に、Aさんの所得税率が20%の場合の還付金の計算例を記載しておきます。
(3万円-2,000)×20%=5,600円…所得税の還付金
住民税
住民税の節税のタイミングは所得税に比べて、さらに遅くなります。まず、Aさんの住民税の節税金額を計算し、確認してみましょう。
3万円-2,000円-5,600円(所得税の還付金)=2万2,400円
所得税5,600円と住民税2万2,400円を合計して、2万8,000円になります。
続いて、節税のタイミングは以下のとおりです。
ふるさと納税をした翌令和7年に確定申告すると、給料から新年度の住民税が天引きされる令和7年6月から12ヵ月に渡って、住民税に影響をおよぼします。具体的には、2万2,400円÷12ヵ月=約1,800円です。本来、給与から天引きされる住民税から1,800円が差し引かれることで節税メリットを受けることになります。つまり、最後の1,800円の節税メリットを受けることになるのは、令和8年の5月の給与になるのです。
令和6年12月31日にふるさと納税をしても、最短でメリットを取りきるためには約1年半かかります。一方で令和6年1月1日にふるさと納税をしたら約2年半かかることになります。このように、支払ったふるさと納税を節税のメリットとして取りきるには時間がかかるのです。この点は、ふるさと納税のデメリットといえるでしょう。
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