現在、20歳から60歳まで納付することになっている国民年金保険料。2025年の法改正により、納付期間を5年延長する議論が本格化しています。定年後、65歳まで働くサラリーマンが多いなか、それほど問題ないのでは、という声も。しかし納付期間5年延長の先を見据えると、少々怖い未来がみえてきました。
平均月収43万円・59歳サラリーマン「国民年金支払い期間延長」で〈100万円負担増〉…さらに「70歳まで強制労働」の現実味 (※写真はイメージです/PIXTA)

70歳まで働けるなら、年金支給は70歳でもいいでしょ…布石は打たれている

年金支給年齢のさらなる引き上げ。もし現実となったら、また問題が生じます。

 

――5年間、無収入になる

 

そう、保険料の納付が終わってから、支給開始までの5年間の空白。働かない限り「無収入」の状態が生まれてしまうという問題です。納付期間が単に5年間延長となるだけであれば、たいていの人はその空白を埋めることができるので、負担増もそれほど問題ではないのかもしれません。しかし年金支給年齢が引き上げになれば、問題は再び勃発してしまうわけです。

 

このような懸念に対しては、すでに手は打たれています。2021年の高年齢者雇用安定法の改正。それによって、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となりました。これが「70歳までの就業機会を確保することは企業としての責務です」となれば70歳までは安心して働くことができるようになり「無収入が不安なら、年金支給が始まるまでの5年間、働いたらいいじゃない」といえるわけです。

 

――国民年金の保険料の納付期間の5年延長。これは70歳まで強制的に働かせる布石に過ぎない

 

もちろん、お金の不安がなければ、現状の通り、60歳の定年で仕事を辞めてもなんら問題はありません。しかしお金がどんどん減っていくことに不安をいだかないほどの貯蓄があれば、の話。多くの人は年金支給を待つ間、不安に打ち勝つことはできず、半ば強制的に70歳まで働くことになる……そんな未来が訪れようとしています。