現在、20歳から60歳まで納付することになっている国民年金保険料。2025年の法改正により、納付期間を5年延長する議論が本格化しています。定年後、65歳まで働くサラリーマンが多いなか、それほど問題ないのでは、という声も。しかし納付期間5年延長の先を見据えると、少々怖い未来がみえてきました。
平均月収43万円・59歳サラリーマン「国民年金支払い期間延長」で〈100万円負担増〉…さらに「70歳まで強制労働」の現実味 (※写真はイメージです/PIXTA)

「年金受給年齢の引き上げ」の現実味

現在、日本の多くの企業が60歳を定年年齢としています。そして8割近いサラリーマンが再雇用などで定年退職以降も働くことを選んでいます。

 

その大きな理由が、無収入期間を埋めるため。現在、国民年金保険料の納付は60歳までですが、年金支給の開始年齢は原則65歳。つまり5年間は不労収入等ない限りは、基本的に働かなければ無収入状態となります。

 

定年前、59歳サラリーマンの平均給与は、月収で43.1万円、年収で701.6万円。手取りだと月33万円程度ですが、それが定年退職を境に、働かなければゼロ円になってしまうのです。貯蓄がどんなにあろうと、どんどんお金が減っていくことに不安をいだくことでしょう。そんなストレスを抱えて年金の支給日を待つくらいなら働いたほうがいい……定年後も働く日本人、その背景には老後生活への不安があります。

 

一方で、定年後も会社員であれば厚生年金にも加入しているので、その分の年金増額も期待できます。月8,000円、1年で10万円以上の年金額アップが見込めるわけです。

 

実際、60歳定年後も働く人の多くは、年金支給が始まる65歳を1つの区切りにしています。「どうせ働くのだから、保険料の納付期間が延びてもいいかな」と多くの人は思うかもしれません。しかし「国民年金の保険料の納付期間の延長は悲劇の序章に過ぎない」と警鐘を鳴らす専門家も。これまで、年金の支給年齢は現行通り「65歳」で話をしてきましたが、保険料納付期間延長の次には、年金支給開始年齢について議論されるだろうというのです。

 

2000年の法改正で、老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。この年、日本人男性の平均寿命は77.72歳、女性は84.60歳です。つまり男性で13年ほど、女性で19年ほど、年金を受け取ることを前提とした改正だったといえるでしょう。一方で2022年、男性の平均寿命は81.05年、女の平均寿命は87.0年。この20数年で、男女とも3年近くも年金受給期間が延びたといえるのです。財源確保の意味合いからも、年金受給年齢のさらなる引き上げは妥当だというわけです。