注文住宅の一次取得者の平均年齢は39.5歳。多くの人が30年超のローンを組んでいます。そのままいけば完済年齢は70歳前後になりますが、なかには繰り上げ返済等を組み合わせ、年金生活突入前に返し終えてしまう人も。しかし、頑張ってローンを返しても、それだけではマイホームは「終の棲家」にならないばかりか、“思わぬ悲劇”の現場になるリスクも。詳しくみていきましょう。
住宅ローン「月13万円」“頑張って”65歳で完済も…マイホームを「終の棲家」にするには〈まだまだお金がかかる〉ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

注文住宅を買った40歳の世帯主…65歳までにローンを完済するには?

総務省『住宅・土地統計調査』(2018年)によると、日本人の持ち家率は61%。20代では6.4%に留まりますが、年齢が上がるにつれて上昇し、40代:57.6%、50代:67.6%、60代以上:79.8%となります。同調査をさかのぼってみると、日本人の持ち家率は減少傾向にあることがわかりますが、とはいえ、まだまだ持ち家志向の人が多数派というのが現状です。

 

ここでは、注文住宅を取得した世帯にフォーカスし、お金事情について考えていきます。国土交通省『令和4年度 住宅市場動向調査』によると、注文住宅の一次取得者である世帯主の平均年齢は39.5歳、世帯年収は731万円です。マイホームの購入資金は総額4,713万円で、自己資金の比率は20.0%。住宅建築には32.8年、土地購入には34.5年ほどのローンを組んでいるというのが平均的な姿です。

 

ローンの返済方式を元利均等、借入金額は3,770万円で、金利0.5%・返済期間30年とすると、利息分は総額290万5,823円。月あたりの返済額は11万2,794円で、年収に占めるローン返済負担率は18.5%。適正な水準は20~25%とされていますので、比較的余裕のある返済プランだといえそうです。

 

たとえば年金生活に突入する前にローンを返し終えたいと考え、25年ローンを組んだ場合はどうでしょう。ほかの条件を上記の同じとすると、月々の返済額は13万3,710円で、年収に占める返済負担率は21.9%になります。30年ローンに比べて、毎月の負担感は重くなりますが、返済負担率は適正な水準に収まっており、よほどのことがない限り、返済には困らないでしょう。

 

このほか、返済期間を圧縮するために繰上返済という選択肢も考えられます。30年ローンの場合、返済期間中に10年に1度の繰上返済(300万円)を行えば、完済時期を65歳まで早められます。金融機関に支払う手数料などの繰上返済にかかるコストを考慮しても、返済総額を減らせるのであれば積極的に検討してもよいかもしれません。