テクニカル分析専門サイト『テクニカルブック』は、投資詐欺の遭遇状況を調査する目的で、20歳以上の男女7,730名を対象にアンケートを行いました。本調査からは、投資詐欺が意外にも身近に潜んでいる実態がみえてきました。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、本調査によって判明した「投資詐欺」の実態について解説します。※本記事は、株式会社アドバンが2023年11月7日に公開したリリースを転載したものです。
過去1年間で「5人に1人」が〈投資詐欺〉に接触…“AI投資”など「新ジャンルの投資」で“疑わしい”勧誘が目立つ (※写真はイメージです/PIXTA)

東京都を上回る数の投資詐欺が「四国」で行われているワケ

3.職業別の接触率1位は学生で36.7%、2位は経営者・役員で35.1%、3位は会社員で27.7%

投資詐欺の経験に関する調査結果を年齢別に集計したところ、以下のグラフのようになりました。

 

 

 

「投資詐欺に遭遇した」または「投資詐欺と疑われる勧誘を受けた・商材を見かけた」と回答した人の割合は、1位が学生の36.7%、2位が経営者・役員の35.1%、3位が会社員の27.7%となりました。

 

学生と経営者・役員が投資詐欺に触れる回数が多いことがうかがえますが、「投資詐欺に遭遇した」だけで見てみると、学生の19.4%に対して経営者・役員は11.9%と低い割合です。このことからは学生が最も投資詐欺に巻き込まれるリスクが高く、特に注意が必要といえるでしょう。

 

4.東京は26.3%と全国平均より投資詐欺に触れる割合が高め、地域別では四国が26.4%で1位

以下のグラフは、投資詐欺の経験に関する調査結果を地域別に集計したものです。なお、地域は八地方区分をベースに、関東地方のみ東京都とそれ以外に分けています。

 

 

 

「投資詐欺に遭遇した」または「投資詐欺と疑われる勧誘を受けた・商材を見かけた」と回答した人の合計割合は、1位が四国地方の26.3%、2位が東京都の26.2%、3位が中国地方の22.3%となっています。また、最も割合が低かったのは北海道の14.2%、次いで東北地方の16.2%でした。

 

東京都の割合の高さからは、都市部において投資詐欺に接触するリスクが高いことが推測されます。この東京を抑えて四国地方が高い割合となっています。地方は都市部よりも高齢者割合が高いことから、詐欺のターゲットにされやすいことが影響しているのかもしれません。

 

一方で割合が低かったのは北海道、東北地方となっており、北に向かうほど投資詐欺が少ないという結果となっています。投資詐欺の発生しやすさは、地域によって異なることがうかがえます。

 

5.AI投資に取り組んでいる人の79.0%が投資詐欺に接触している

本調査では、近年話題になっているAI投資や暗号資産など、新しい投資分野における投資詐欺の動向についても分析を行いました。

 

以下のグラフは、株式・投資信託・FX・暗号資産・AI投資に現在取り組んでいる人を対象として、投資詐欺の経験に関する質問を行った結果をまとめたものです。

 

 

 

「投資詐欺に遭遇した」または「投資詐欺と疑われる勧誘を受けた・商材を見かけた」と回答した人の割合が最も高かったのはAI投資に取り組んでいる人で、79.0%と非常に高い結果となりました。

 

これに続くのが、FXに取り組んでいる人の62.7%、暗号資産に取り組んでいる人の58.5%で、こちらも半数以上となっています。なお、株式に取り組んでいる人は32.8%、投資信託に取り組んでいる人は28.6%と、ほかのものに比べると低い結果となりました。

 

この結果からは、未成熟な領域ほど疑わしい情報が広がりやすく、詐欺まがいの勧誘が多いことがうかがえます。新しいジャンルの投資に臨む際には、情報の真偽についてより慎重に判断することが大切です。