サラリーマンが収入を増やす正攻法は、やはり「出世・昇進」を目指すこと
厚生労働省『毎月勤労統計調査』の2023年9月の速報値によると、基本給や残業代などをあわせた現金給与総額は平均で27万9,304円。昨年9月と比べて1.2%増え、これで21ヵ月連続でプラスとなりました。なんとも景気のいい話に聞こえますが、幾度となくニュースで聞くように、物価の変動分を反映した実質賃金は昨年9月と比べて2.4%減少。これで18ヵ月連続のマイナス。最近、何を買うにしても高いなあ、と感じるのも無理のない話です。
このような状況下、わたしたちにできる防衛策は、①投資で資産を増やす ②節約をして支出を減らす ③物価高以上の給与アップを目指す の3つ。
①投資で資産を増やす…以前からいわれている資産形成、実際にNISAなどを活用して、コツコツと進めている人も多いでしょう。ただ「そもそも投資する元手がない!」という声も多いのが現状です。
②節約して支出を減らす…日々の暮らしのなかで、ちょっとした工夫、ちょっとした心構えで、コツコツと節約。ただ「節約が過ぎると心が貧しくなる」という声も。何事も限度があるようです。
③物価高以上の給与アップを目指す…物価高以上かはさておき、給与アップを目指す方法は大きく2つ。いま勤めている会社よりも給与のいい会社に転職をするか、いま勤めている会社で出世・昇進するか。
厚生労働省『令和4年 雇用動向調査』によると、2022年1年間の転職入職率(常用労働者数に対する転職入職者数の割合で、入職者数÷1月1日現在の常用労働者数で算出)は9.7%。男女別では、男性が8.7%、女性が10.8%でした。
転職の理由で「給与(給与等収入が少なかった)」を上げているサラリーマンは7.6%。年齢によって幅があり、30代前半が13.4%、40代前半が14.6%、50代後半が12.1%と、ほかの年齢は10%未満なのに対し、突出しています。
30代前半…結婚し子どもも誕生、家族の将来のために収入を増やしたいと考えるタイミング。40代前半…家を買い、ローン負担が重くのしかかるなか、収入を増やしたいと考えるタイミング。50代後半…老後を見据えて、もうひと踏ん張り、収入を増やしたいと考えるタイミング。それぞれ人生の岐路を迎えているのかもしれません。
これらの年齢で「収入アップ」を実現したのは、30代前半で26.9%、40代前半で25.4%、50代後半で18.7%。転職で「給与アップ」、想像以上にハードルは高いようです。この事実を知ると、勤めている会社での出世・昇進が、正攻法のように思えてきます。出世街道をいき、部長にまで昇進するのは1%程度といわれているので、そこそこのレベルならまだしも、トップクラスを目指すとなると、かなりの狭き門です。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大企業、さらに大卒のサラリーマン部長(平均年齢52.8歳)の平均月収は75.6万円、平均年収は1,269.8万円。一方、同年代の役職なしの給与は月収で45.5万円、年収で794.3万円。さすが、大企業で大卒。役職なしでも高給ではありますが、部長と比べると月とスッポン。エリート街道をいく人の給与は、一般サラリーマンのはるか上をいっています。