サラリーマンにとって給与アップの方法は色々とありますが、王道といえるのは「出世・昇進」。しかし誰もがトップへとかけあげることはできず、部長に昇進する人はわずか1%ともいわれています。しかしそんなエリート街道から降りなければいけない事態に直面する人も。みていきましょう。
月収75万円だったが…大卒・大企業勤務の50代サラリーマン「エリート街道」から「無収入に転落」まさかの事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

大卒・大企業勤務の50代サラリーマン…エリート街道から降りた理由

サラリーマンにとって、エリート街道をいき、トップクラスまで辿り着いた……さぞ、ウハウハなのだろうと思いきや、早々にそのポジションから降りてしまう人も。

 

ーー会社を辞めてきた

 

そう呟く50代の男性もそのひとり。就職してから30数年、定年もぼんやりと見えてきたタイミング、会社からもさんざん留意されたものの「もうムリだ!」と退職を決意したといいます。何がムリだったのか……それは「介護と仕事との両立」。

 

1年ほど前に、同居する母親が倒れて、日常生活動作に全体な介助が必要に。介護サービスを利用しながら在宅で介護をしてきましたが、部長という立場で仕事は多忙を極め、肉体的にも精神的にもキツイ日々だったといいます。母親は施設に入るといいましたが、男性は拒否。貯蓄は十分だったことから、いったんは仕事を辞めようと決意したといいます。

 

厚生労働省『雇用動向調査』によると、介護離職をする人は1年間で10万人ほど。女性のほうが圧倒的に多いですが、男性でも2.4万人が介護・看護離職をしています。年齢別でみていくと、最も多いのが50代後半で3,700人ほど。ちょうど要介護となる親世代が多くなるタイミングです。

 

介護離職をする男性。数としては決して多くなく、男性も「まさか自分が介護離職することになるとは思わなかった」と振り返ります。未婚率の上昇により、親と同居する単身男性は増加傾向。それに伴い、親の介護をする男性も増加。当然、介護離職をする男性も、今後は増えていきそうな予感です。

 

離職を防ぎ、仕事と介護を両立するための支援制度として知られているのが、「介護休業」と「介護休暇」。「介護休業」は家族1人につき最大93日間取得可能。この期間は賃金の2/3ほどの介護休業給付が支給されます。「介護休暇」は、年間5日、時間単位での取得も可能。短時間勤務や残業免除も。


ただ制度が整備される一方で、厚生労働省の調査では離職者からこんな声が「勤務先の両立支援制度の問題や介護休業などを取得しづらい雰囲気があった」43.4%。当人たちは家族という個人的な相談はしにくいという思いがあり、また会社としても前例がないからなどと、理解が及んでいるとは言い難い状況。

 

前述の男性は「十分な貯蓄があったから仕事を辞めても暮らしていける」と判断したといいますが、「親の介護が終わった後」を見据えると不安が残ります。親の介護が終了したときには、自身も高齢者といえる年齢。頼りになるのは「公的年金と貯蓄」となりますが、早期離職をした分、年金受給額は少なくなりますし、無収入の状態が続いていたのであれば、老後の生活を支えるほど貯蓄は十分に残っていないかもしれません。自身の老後が悲惨なものになる可能性は高いといえるでしょう。

 

介護離職を防ぐためにも、制度のさらなる充実はもちろん、それをいかに周知していくか、理解を深めていくかが、今後の課題。また、もし家族が介護状態になったとき、当事者が「もっと周りを頼っていい」という意識を持つことも重要です。