高齢になった親と離れて暮らす場合、何かと心配は尽きません。安心できる暮らしのために「老人ホームへの入居」も選択肢になりますが、ここでの悩みどころは「親の慣れ親しんだ街の老人ホーム」か「子どもが通いやすい街の老人ホーム」という二択。果たして、どちらが正解なのでしょうか?
認知症の80代母〈東京の老人ホーム〉に預けたが「こんな所に閉じ込めないで!」と慟哭…娘「とんでもない親不孝をしてしまった」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親の住まいと1時間以上の遠距離…4割程度

国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、親と同居する夫婦の割合(4人の親のうち誰かと同居している割合)は15.6%。細かくみていくと、「夫の母親と同居」が10.7%、「夫の父親と同居」は7.8%、「妻の母親と同居」は5.3%、「妻の父親と同居」4.1%と、父親より母親、妻の親よりも夫の親のほうが同居率は高くなっています。

 

親との同居率について、妻の年齢ごとにみていくと、年齢を重ねるごとに親との同居率は上昇していることがわかります。

 

【妻の年齢別「親との同居率」】

◆妻の父親と同居

「20代:3.6%」→「30代:3.1%」→「40代:4.0%」→「50代:4.9%」→「60代:6.5%」

 

◆妻の母親と同居

「20代:2.9%」→「30代:3.3%」→「40代:4.7%」→「50代:5.1%」→「60代:10.7%」

 

◆夫の父親と同居

「20代:1.7%」→「30代:5.4%」→「40代:6.0%」→「50代:14.8%」→「60代:15.5%」

 

◆夫の母親と同居

「20代:2.3%」→「30代:5.0%」→「40代:9.1%」→「50代:13.8%」→「60代:21.6%」

 

さらに親と別居している娘(妻)が、親とどの程度の距離感で住んでいるかを尋ねたところ、近居(=住宅間の距離が車・電車で1時間以内)はいずれの親とも6割程度。スープが冷めない距離に親が住んでいます。

 

一方で親の住まいが遠距離なのは4割程度。親と遠くに住んでいることの心配は、親が年を重ねるごとに大きくなっていきます。平均的な夫婦であれば、先に夫(父)が亡くなり、妻(母)は7~8年程度、お1人さまとなります。

 

高齢の母親の1人暮らし……遠方に暮らす子どもとしては心配です。しかも80代にもなると、4人に1人は要介護。また80代後半になれば女性の4割強は認知症となるといわれています。

 

ーーお母さん、一緒に暮らそう

 

できれば、1人暮らしの母親を呼び寄せたいところですが、すでに夫の親と同居している場合もありますし、夫の親を差しおいて親と同居するというのも気が引ける……実現には高いハードルがあります。