ひと口に「老後」といっても、その長さは20~30年。その間、幾度かライフステージの大きな変化が訪れますが、最終ステージといえるのが、配偶者を亡くしたその後。いわゆる「お1人さま」になっても困らないようなマネープランを考えておく必要があります。そのカギを握るのが「遺族年金」。しかし「そんなのあてにできるわけ、ないでしょ」と嘆く人も。みていきましょう。
年上夫に先立たれた「80代の内縁妻」…待ち受けるのは「遺族年金ゼロ」の悲惨な老後か? (※写真はイメージです/PIXTA)

65歳からスタートする「老後」だが、いくつかのライフステージの変化

2022年、日本人の平均寿命は、男性81.05年、女性87.09年。また生存率が50%を下回る年齢(=誕生0週の生存数を100とし、半分の50を下回る年齢)は、男性で84歳、女性で90歳。日本人の寿命には6歳ほどの男女差があるといえます。また昨今、初婚同士の結婚における男女の年齢差は1.5歳ほどです。そう考えると平均的な夫婦であれば、夫が亡くなった後、残された妻は7~8年ほど、「お1人さま」の老後を過ごすことになります。

 

昨今、老後資金の不足を補う方法として「自助努力」が定着していますが、ひと言で「老後に備える」とはいうものの、「老後」に大きく3つのライフステージの変化があります。

 

原則年金支給の始まる65歳からを「老後」とするのなら、「仕事を続けている」状態から「仕事を辞める」タイミングで、ひとつライフステージが変わるでしょう。

 

現在、法改正により、企業は70歳までの就業機会の確保が努力義務となっています。また在職老齢年金制度の収入要件も変わり、より定年を迎えても、年金をもらう年齢になっても、働き続けることのできる環境は整備されつつあります。

 

長生きがリスクとなる時代。できるだけ長く「給与」を得ていたい……安心のために、65歳以降も働き続けることを選択する人は、今後、ますます増えていくでしょう。

 

ただいつかは完全リタイアとなり、基本的に収入は年金だけ、という生活が訪れます。仕事を続けている段階が「老後のファーストステージ」であれば、引退後は「老後のセカンドステージ」となります。

 

厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金受給権者の老齢年金の平均年金月額は5万6,368円。厚生年金保険(第1号)の平均年金月額 は、併給する老齢基礎年金の額を含めて14万5,665円。平均的な元会社の夫と、専業主婦の妻であれば、月20万円程度は確保できるイメージ。さらに年金の受給年齢を繰り下げると、その分、受給額を増やすこともできます。そして年金だけで足りない分は貯蓄を取り崩す、というのが、老後のセカンドステージにおける基本的なスタイルです。