若いころは健康に自信があった人でも、年を重ねることで病気やけがのリスクは格段に高まります。健康を損ねる可能性を見据えて老後の資金計画を立てなければ、後々大きな後悔をすることも……。本記事ではNさんの事例とともに、老老介護の危険性についてFP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。
「やっぱりお金返して…」年金月27万円の夫婦、67歳・元大企業部長の夫が“老人ホーム入居”で老後破産…〈子への生前贈与2,000万円〉を返金請う惨め【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の平均的な介護期間

高齢になって、人の手助けが必要になる期間はどのくらいかご存じでしょうか?

 

「健康寿命」という言葉を耳にしたことがある方も少なくないかもしれません。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。平均寿命と健康寿命には差があります。厚生労働省の調査では、2019年の平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.73年、女性は12.6年でした。この期間は、「健康でない状態で過ごす期間」です。

 

生命保険文化センターが行った調査では、介護を行った期間や現在介護を行っている方の経過期間は、平均61.1ヵ月(5年1ヵ月)です。

 

出所:
[図表1]平均的な介護期間 出所:生命保険文化センター 「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度

 

平均は5年1ヵ月であっても、割合として多いのは4年~10年未満の31.5%、10年以上の介護期間のある方は17.6%。決して少ない割合ではありません。ご本人のご状態などいろいろな要件があると思いますが、たとえば、介護施設に入居して手厚い介護を受けられるなど、介護期間が思っていた以上に長くなることは、想定しておくべきではないでしょうか。

 

出所:厚生労働省 令和4年度介護給付費等実態統計の概要 
[図表2]65歳以上における性・年齢階級別にみた受給者数及び人口に占める受給者数の割合 出所:厚生労働省 令和4年度介護給付費等実態統計の概要 

 

2021年度の公的介護保険の受給者の割合は、85~89歳で男性28%、女性42.3%です。高齢になれば介護保険の受給者の割合は増加しています。ずっと健康で過ごしたいと願うのは誰でも同じだと思いますが、「自分自身も介護される側になるかもしれない」と考えておきたいですね。