若いころは健康に自信があった人でも、年を重ねることで病気やけがのリスクは格段に高まります。健康を損ねる可能性を見据えて老後の資金計画を立てなければ、後々大きな後悔をすることも……。本記事ではNさんの事例とともに、老老介護の危険性についてFP dream代表FPの藤原洋子氏が解説します。
「やっぱりお金返して…」年金月27万円の夫婦、67歳・元大企業部長の夫が“老人ホーム入居”で老後破産…〈子への生前贈与2,000万円〉を返金請う惨め【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

Nさん夫婦はこれからどうすればよいのか?

これからできる対策として以下のことが考えられます。

 

対策1:Nさんは、厚生年金の被保険者期間が20年以上あるため、生計を維持されていた妻が65歳になるまで加入年金39万7,500円受け取れる。→これを生活費に充てる。

 

対策2:妻が65歳になると、老齢基礎年金月額約6,6万円、振替加算1万5,323円を受け取ることができる。

 

対策3:いままでのパート勤務の経験を生かして、妻が仕事に就いて収入を得る。

 

対策4:民間の介護保険に加入する。

 

対策5:妻の収入からNISAを活用して積立投資を始める。

 

対策6:金融機関に、Nさんの判断能力が不十分になったときに備えられるサービスについて確認、手続きする。

 

さらに、妻も同時期に施設入居を選択することになる可能性もあります。金融機関は代理人等を指定すると、Nさんの判断能力が不十分になったときも現金や預貯金を引き出したりすることが可能です。しかし、不動産を売却するなどの手続きはできません。資金が不足することになれば、長女や長男が負担する必要がでてきます。「家族信託制度」の検討なども含めて、話し合っておくことが大切でしょう。

 

入院から2ヵ月後、妻の骨折は治り、退院することができました。現在は自宅に一人で暮らしています。日常生活のリズムを取り戻しつつ、仕事を探しているそうです。

 

「子ども達も頻繁に連絡をくれるので心強いです」と言っています。

 

60歳以降も働くことは、メリットも多いでしょう。社会とのつながりがあればイキイキと過ごせる時間が持てますし、厚生年金に加入すれば将来の年金額が増えることが期待できます。厚生年金の被保険者が101人以上の会社で週に20時間以上働く方は、厚生年金保険・健康保険に加入できる対象となっています。

 

Nさんが病にかかるということは、妻や家族にとって本当に悲しい出来事だと思います。どうか少しずつでも前向きに毎日を過ごしていかれることを願っています。

 

 

 

藤原 洋子

FP dream

代表FP