高齢者の住まいの選択肢として、増加傾向にある「老人ホーム」。ただ一度、選んだらそれでひと安心というわけではなく、やむを得ず退去、というケースも。この時にとんでもない事態に巻き込まれるケースも。みていきましょう。
年金月11万円・75歳の高齢女性…入居費用1,000万円の「老人ホーム」で遭遇する大事件「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

返ってくるはずの一時金が返ってこない…法令違反の「老人ホーム」

一時金の保全措置違反の施設のほか、そもそも届け出のされていない有料老人ホームは626件あったといいます。これは全体の3.8%にあたるもの。それだけの施設が無届けで高齢者を受け入れているわけです。

 

このような施設は年々減少傾向にありますが、いまだにゼロにはなっていないのが実情。その理由は、まず人気の高い特養であれば1年以上の入居待ちは珍しくないという現状。さらに施設に入るだけのお金がないという高齢者が多いという実情。「入りたくても入れない」という高齢者の受け皿になっているのが、無届けの老人ホームというわけです。加速度的に進む高齢化のなか「必要悪」という専門家もいるほどです。

 

ーーえっ、一時金、戻ってこないの?

 

「何かの間違いでは……」と絶句する高齢女性。老人ホームを探し入居するというのは、なかなか骨の折れること。しかも退去となれば、自分の決断とはいえ結構凹むものです。さらに戻ってくるはずのお金が戻ってこないとなると、目も当てられません。

 

実際に無届けの施設は低価格帯というケースがほとんどで、入居一時金を1,000万円も払うような施設では、そうありません。しかし経営が厳しく保全措置を行っていなかったという施設は高価格帯の施設でも十分にあり得るので、入居前に施設の経営状態をきちんと把握しておくことも重要でしょう。

 

このほか老人ホームにおけるお金のトラブルは「ここにきちんと書かれてますし、重要事項説明でも言っています」「えっ、こんな小さい文字、誰がみるのよ。重要事項説明ってなによ、知らないわよ」といったものがほとんど。万が一のことがあっても後悔のないよう、トラブルになりそうなことは事前に確認し、入居前に疑問点を残さないことが肝心です。