普通のサラリーマンが宝くじに大当たり!
Aさんは中小企業に勤務する45歳のサラリーマンです。パート勤務の妻と中学生の娘の3人で10年前に購入した一戸建てに暮らしていました。このごろは、結婚して20年近くの奥さんとは仲も冷え切っており、あまり話もしなくなりましたし、年ごろの娘さんからもほとんど口を利いてはもらえない状態です。
そのため、家に居るときもほとんど1人で書斎に引きこもっていました。楽しみといえば、お給料日にキャバクラに行って飲んだり、休日には電車に乗って好きなカメラで景色を撮りに行ったり、という程度でした。
そんなAさんですが、外回りのあいだに何気なく買った宝くじで1億円が当たってしまったのです。宝くじには高額当選者しかもらえない「その日から読む本」というのがあります。そのなかには「ひとりでも人に話せば、噂が広まるのは覚悟しよう」という項目があります。Aさんはこれを読み、話好きの奥さんがしゃべってしまうのではないか、という恐れから、誰にも言わずに黙っていることを決めました。
Aさんは大卒で中小企業に勤めた年収580万円のいわゆる「普通のサラリーマン」です。1億円といった大金など、目にしたこともありませんでした。ちなみに男性の大卒中小企業勤務の生涯年収は2億2,220万円ともいわれています(「労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2020」同一企業型の生涯賃金」より)。Aさんはサラリーマンが一生かけて稼ぐ額の半分を一度に手にしたのです。
「高級車も欲しいな」「世界一周旅行も行ってみたいな」と夢を膨らませましたが、当然家族にバレてしまいますから、大きな買い物はじっと我慢して過ごすことに決めました。
そのようななかでも、「カメラの値段は女房にはわからないから」と、新しい高額なカメラを買ったり、妻には残業や付き合いという言い訳でキャバクラに行く回数が増えたりしていきました。
「なにかおかしい…」Aさんの異変に気付いた妻
Aさんは人目に触れないよう、大きなお金を使っているつもりはなかったのですが、やはり大金を手に入れたせいか、気が付かないうちに金銭感覚が変わっていったようです。
キャバクラでも以前は必ず予算を決めて飲んでいたのですが、気持ちが大きくなっていき、お金の使い方も次第に荒くなっていきました。当然、店の女の子もこれに気が付き、高いボトルを入れさせたり、同伴デートでバッグを買わせたり、とAさんはいいカモです。
さて、キャバクラの女の子よりももっと前にAさんの変化に気が付いていたのは、当然奥さんです。ボーっとしたり、以前は憮然としていたのにときどき口元が緩むようになったりしている夫に「なにかおかしい……」と感じていました。
最近は若い女の子とデートするようになったせいか、おしゃれにもなっているAさんを見て「まさか、浮気しているんじゃないか?」と疑うようになっていました。しかし、日ごろから奥さんに関心のないAさんは「絶対バレていない」と自信満々に暮らしていました。