生活に困窮したときの救済措置である「生活保護制度」。しかし、一度生活保護を受給した人は、そこから抜け出すのが困難になってしまうケースが少なくないと、FP1級の川淵ゆかり氏はいいます。いったいなぜでしょうか。本記事ではAさんの事例とともに、生活保護の実態について解説します。
生活保護のままでいたい…「月22万円」の受給に頼る28歳・シングルマザーが働かないワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「生活保護」とは?

生活保護は、生活に困窮したときに受けられる国民の権利です。病気やケガで働くことができなくなってしまったり、収入があっても生活できないような場合は利用を検討しましょう。厚生労働省は、生活保護が受けられる人として、次のように掲げています。

 

生活保護を受けられる人の条件

〇生活保護は、資産、能力等あらゆるものを活用することを前提として必要な保護が行われます(以下のような状態の方が対象となります)。

 

・不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない(不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります)。

・就労できない、または就労していても必要な生活費を得られない。

・年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。

 

〇扶養義務者からの扶養は保護に優先されます。

※保護の申請が行われた場合に、夫婦、中学3年生以下の子の親は重点的な調査の対象として、福祉事務所のケースワーカーが原則として実際に会って(対象者が管外に居住する場合には、書面で)扶養できないか照会します。そのほかの扶養義務者については書面での照会を行います(「扶養義務の履行が期待できない者」と判断された場合には、扶養照会を行わない場合があります)。

 

支給される額の計算方法

また、支給される保護費については、次のように算出します。

 

〇必要な生活費は、年齢、世帯の人数等により定められており(最低生活費)、最低生活費以下の収入の場合に生活保護を受給できます。

 

厚生労働省「生活保護制度の概要」より引用
[図表1]生活保護支給費の計算方法 厚生労働省「生活保護制度の概要」より引用

 

なお、住んでいる地域によって、物価や家賃など必要な生活費も変わってきます。そのため、生活保護では、住まいの所在地により6つの級地区分を設定し、この級地区分により金額を計算するようになっています。

 

また、生活保護には次のように8種類の扶助があり、必要に応じて加算されます。

 

 

そして、障害を持つ方がいらっしゃる家庭、母子世帯、子育て世帯にはこれらの扶助とは別に加算額があります。加算額も住んでいる地域によって金額が異なります。

 

なお、生活保護を受給しながら働いても問題はありません。労働収入だけで最低水準の生活を維持できないときに生活費を補填する形で受けることができます。